新型コロナが落ち着いてインバウンド観光客も徐々に戻ってきていますが、観光地ではタクシー不足で観光客の不評を買っているようです。
原因はタクシーのドライバー不足。
新型コロナによる人流抑制でタクシー需要が無くなって会社を離れたドライバーが多かったですが、その後、人流が戻ってきてもドライバーは戻ってこないのだとか。
タクシー会社は「車はあるのにドライバーがいない」状態で、昨今の人手不足でドライバーのなり手がいないという背景もあります。
政府はそういった声をうけて、ライドシェアの導入の検討を始めました。
タクシー不足をライドシェアで補おう、ということですが、日本では旅客を乗せて営業するには2種免許が必要であり、
といった対応が必要となります。
ライドシェアで2種免許が必要か?
タクシー不足を解消しようにも、そもそも
というのが根底にあります。
その要因の一つとして、
ということが挙げられます。
普通2種免許ってタクシーのための免許で、取得のハードルが中々高いんですね。
普通免許(1種)の合格率は75%以上なのに対し、2種免許の合格率は50%程度と受験者の半数は落ちる試験。
旅客を乗せて運転するので、1種免許より難易度が高く設定してあるというのがその背景ですが、一方で普通に目的地に人を乗せるのに、そこまで高度な運転技術は必要無いのではという意見もあります。
ライドシェアでも2種免許は必要派の意見
2種免許必要派は
という意見が多いですね。
現役タクシードライバーの方からも同じ意見が多く見られます。
ライドシェアに2種免許は不要派の意見
一方、2種免許不要派は
という意見が多いですね。
確かに、家族や知人を目的地まで乗せることと、ライドシェアの客を目的地まで乗せることには、必要とされる技量に大きな差はありません。
ライドシェアはドアの開閉は客がするし、料金・領収書のやり取りも発生しません。
それと、ライドシェアをやろうとする人はそれなりに運転に自信がある人でしょうから、運転技術に大きな不安があるとは考えづらいです。
個人的には…
個人的にはライドシェアに2種免許は無くてもいいかな、と思います。
その理由は、
ですが、そもそも2種免許は、戦後、1種免許で営業していたタクシードライバーが、稼ぎを上げるために交通違反を知りながら飛ばしまくって事故が多発したから出来た制度なんですよね。
↓
免許さえあれば誰でもなれる
という時代だったので、2種免許を設けてハードルを高くしたんですね。
戦後と言えば、まだまだ一般家庭に自家用車は無く、自動車はお金持ちの乗り物でした。
それに運転免許を取得する人も今ほど多くなかった時代ですから、免許を取得して会社の車を運転(タクシー)してお金を稼ぐというのは花形職業だったわけです。
もちろんタクシーの事故防止も目的ではあったとは思いますが、希望者が多いところにはハードルを上げて人数を絞る、というのはどの業界でもあり安易にタクシードライバーになれないようにする、という目的もあったと思います。
それと、現役タクシードライバーの方で
といった指摘がありますが、そういう地域って都内でもほんの一部ですよね。
僕も都内を車で走ることがよくありますが、10年以上前のカーナビでも、目的地に到着できなかったことは1度もなく、多少遠回りに案内されたことが何度かあった程度です。
現在のカーナビは日進月歩ですから、たまに乗るレンタカーのカーナビは正確すぎてビックリします。
タクシーでも
ということもありますから、まれに起きるカーナビの道案内問題のために地理知識を問うのはどうかと思うんですよね。
世界のライドシェアはどうなってるの?
海外では、日本の2種免許に相当するライセンス種別は無く、国や州政府が営業許可ライセンスを出すという形が多いです。
免許自体は一種類でタクシーをやりたい人が営業許可証を取得するので、免許と営業許可は別なんですね。
営業許可を取るのに費用がかかるのはどの国でも同じですが、免許自体は1種類ですから、運転技術に自家用と営業用でそこまで大きな差はありません。
ライドシェアに2種免許は必要か?
今後、有識者会議などで議論されていくと思いますが、個人的にはライドシェアに2種免許は不要ではないかと思います。
そもそも、タクシードライバー不足を補う方策を考えなければならないのに、なり手のハードルとなっている2種免許を必須要件にするのは本末転倒です。
それでも2種免許取得を要件にするなら、きっと2種免許の教習時間短縮、取得費用の助成といった折衷案が出てきそうですが、そうなると「じゃあ、今までの2種免許って一体何だったんだ?」となりますよね?
ライドシェアは世界中で普及が進んでいる破壊的なサービスです。
海外で使ってみると実感しますが、
と、おおよそ海外でタクシーに乗るときに困ることが、ライドシェアだとほぼ解決されています。
タクシーにぼったくられるというのは日本ではあまりありませんが、つい最近まではタクシーでクレジットカードが使えなかったり、使えるタクシー会社だったとしてもカード決済手数料がドライバー持ちだったりと、クレカ払いに難色を示されたりするケースが多かったと思います。
そういった決済方法の不便さがここ数年で急速に改善したのは、ライドシェアへの対抗からなのは明白です。
ライドシェアの大手であるUberが日本に上陸しようとしたとき、タクシー業界が当然のように反対したものの、アプリで配車できる便利さを無視できなかったからです。
そしてタクシー業界自身で配車アプリを作ってなんとか業界を守ってきたのですが、ドライバー不足に対しては如何ともし難い。
そして、ライドシェアの便利さを知った来日外国人観光客が増えてくるにつれて
という声が大きくなるのは自然でしょう。
個人的にはこういった外圧も後押しになってライドシェアの導入が進むのは間違いなく、タクシー業界はハイヤーとライドシェアが棲み分ける形に再編されるのではないかと予想しています。
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