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ようやく「外免切替」が厳格化されるか

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外国人による自動車事故増加を受け、警察庁はようやく外国人の免許を国内免許に切り替える「外免切替」制度の厳格化を2025年10月より実施すると発表した。

個人的には遅きに失した感じが否めないが、ようやく厳格化されることは歓迎したい。

ここまでの経緯をざっとおさらい

まずこの「外免切替」とは「外国免許を日本の免許に切り替え」のことで、外国で運転免許を受けていた人に対する軽減措置である。

よくあるのは、外国に駐在していた日本人が現地で運転免許を取得し、帰国後に日本の免許に切り替える手続きである。

しかし最近は外国人による事故が増加しており、ニュースでも外国人による高速道路逆走やひき逃げ事件などは目にした人も少なくないだろう。

車のトラブルが大好物な羽鳥慎一のモーニングショーでも散々取り上げていたのは記憶に新しい。

ここで問題になったのが、「外国人による外免切替が簡単にできるようだ」、という、運転者にはことのほか厳しい日本警察にあるまじき甘々な対応が捲れてきたのだ。

2024年に外免切替で免許を取得した外国人は約7万人で、2024年の外国人による交通事故は過去10年で最大の7,286件という数字を見れば、一体「外免切替」では何を審査しているのだ?という批判が出てくるのは当然だろう。

実際にいろんな番組や週刊誌が取材を進めると、外免切替の申請はホテルの住所でもできるだとか、学科試験は10問中7問正解で合格とか、次から次へと制度の抜け穴が暴かれてきた。

しかも先のひき逃げ事件は小学生の通学路で起きた接触事故だったものだから「警察は何をやってるんだ!」と国民の怒りが警察に向かい、今回の外免切替制度の厳格化に踏み切った、というのがこれまでの経緯である。

ずさんな外免切替の運用

外免切替の運用で個人的に驚いたことをいくつか指摘したい。

旅行者がホテルの住所で申請できる

実はこの件で僕が一番ビックリしたのがこれだ。

通常、どんな国でも運転免許を受けようとするには、生活拠点の住所正規滞在ビザ(観光ビザを除く)が要求されるのが普通である。

しかし日本の運転免許センターでは、観光ビザなどの短期滞在者については「住民基本台帳法の適用を受けない者」として扱われ、住民票の提出が要件になっていないという。

その代わりに、パスポート(出入国記録で日本滞在が確認できること)や、滞在先の責任者(ホテルなど)が発行する「一時帰国(滞在)証明書」などを提出することで、日本での「住所地」を証明することができたのだ。

いやいや、そもそも観光ビザで外免切替申請を受け付けちゃダメだろ。

運転免許の取得が比較的簡単なアメリカでさえ、申請にはパーマネントな住所、正規滞在ビザ(観光ビザはNG)、ソーシャルセキュリティナンバー(SSN)の3点が必須である。

観光ビザの人は国際免許もってきてね、90日以上滞在の、正規ビザ保有者しか免許は受けられませんよ、が普通である。

簡易すぎる学科試験

これにも驚いた。

日本の外免切替の学科試験は、なんと10問中7問正解で合格である。

いくら祖国で運転免許を受けている前提とは言え、交通ルールが大幅に違う国でこの激甘な試験は何なんだ?

日本人の学科試験はご存じのとおり95問中90点以上で合格である。

さすがに、住所の件とこの簡単な試験には批判が殺到したようで、2025年10月からは問題数が50問に引き上げられて、正答率90%以上で合格(45問以上正答で合格)に変更される。

いやいや、これでも甘くないか?

ちなみに日本人が中国で同様の「外免切替」を行うと、学科試験は100問中90問以上で合格である。

こういうのは相互運用が基本ではないのか?

日本人が海外で受ける恩恵と、中国人が日本で受ける恩恵のバランスが取れていないのである。

しかも10/1から実施と言わず即日実施すべきだろう。

特定の国に甘い措置

今回は外免切替を取り上げたが、日本は特定の国に対する措置が非常に甘い気がしてならない。

中国は運転免許を相互運用できるジュネーブ条約に加盟していないので国際免許証の取扱いができず、運転免許の取扱いは二国間の協議で取り決められる。

日本人が中国で外免切替するには、100問の学科試験を受けなければならないのに、日本では2025年10月からでも50問の学科試験を受ければよく、相互運用なのにバランスが取れていない。

こういった外国人に甘い配慮が、日本人が逆差別されているという国民感情を生み、「日本人ファースト」を掲げる政党が支持される要因になっているのだと思う。

安倍政権以降の自民党はリベラル寄りに大きく舵を切ったことで、周辺国に阿る政治姿勢が目立つようになってきた。

もはや保守政党でなくなった自民党を見限った支持者が、日本人ファーストを掲げる政党に流れるのはごく当たり前のことである。

日本がかつてのように「ジャパン・アズ・ナンバーワン」であったときであれば、富裕国としての責任として積極的に外国人に援助を行うのもあっていいと思うが、今の日本はGDPは年々下降し、30年も経済成長していない国である。

その中で社会保険料、税金、食料品やガソリンの高騰が続き、国民負担率が50%になろうかという国で、税金を自国民よりも外国人への厚遇に使うというのは国民の理解を得られまい。

外免切替が厳格化されても課題は残る

外免切替が厳格化されることで、短期滞在者による運転の抑制、事故低減には一定の歯止めはかかると思うが、中長期的には外国人運転者が増えることによる、無保険車による事故、事故後の補償交渉中に加害者が帰国することで事故補償を受けられなくなる被害者の増加などが懸念される。

自動車関連税の減税に合わせて、任意保険の強制化なども踏まえた制度を設計しないと、根本的な解決にならないだろう。

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