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アメリカではなぜノーヘルOKなのか?

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先日公開されたトップガン マーヴェリックでも、トム・クルーズがカワサキH2をノーヘルで乗っていましたね。

そう、アメリカはヘルメットを被らなくても合法ですが、州によってヘルメットの着用義務が異なります。

アメリカは各州の権限が強力なので、州によって法律が違うんですね。

日本では、原付や自動二輪車に乗るには、一律、ヘルメットの着用が義務付けられていますが、アメリカではなぜノーヘルOKな州があるのでしょうか?

その根底には権利に対するアメリカ人の考え方があります。

ノーヘルOKな州、ダメな州

この地図はヘルメットに関する法律の有無についてカラーマップにしたものです。


引用:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Motorcycle_Helmet_Laws_in_the_US_by_State.svg

・緑:ヘルメットに関する法律が無い
・青:18歳以下はヘルメット着用が必要
・紫:19歳以下はヘルメット着用が必要
・オレンジ:21歳以下はヘルメット着用が必要
・黄:26歳以下はヘルメット着用が必要
・赤:全てのライダーはヘルメット着用が必要

全くヘルメットを着用しなくてもよい州は3州に過ぎず、それ以外はなんらかの規制があります。

とは言っても全てのライダーにヘルメット着用を義務化している州(赤)は20州程度なので、それ以外の州では規制年齢にかからなければノーヘルOKなんですね。

1作目のトップガンではGPZ900Rをノーヘルで乗っていたが…

1986年に公開された映画トップガンでは、主人公のトム・クルーズがノーヘルでGPZ900Rに乗って、教官であるチャーリー(ケリー・マクギリス)の家に行ってましたよね。

当時のカリフォルニア州はヘルメットの着用義務が無く、1992年に全米で初めてヘルメットの着用が義務化されました。

しかし先日公開されたトップガン・マーヴェリックでも、恋人ペニーを後ろに乗せてノーヘルで公道を走っていましたよね。

おそらくこれは映画撮影のために許可をとった上での演出でしょう。

日本だといくら許可を取って撮影したとは言え「ノーヘルなんてけしからん!」となるところでしょうが、本国ではそんな声は一切聞こえてきません。さすが自己責任の国ですね。

なぜ、一律ヘルメット着用義務にならないのか

日本人の感覚だと「なぜアメリカは一律ヘルメット着用義務化にしないのか?」と思うでしょう。

アメリカ人もアホではないので、ヘルメット着用したほうが安全なのは重々承知です。

それでも一律の義務化には反対する人達も多いのが実情です。

その理由を理解するには、アメリカ人のメンタリティを理解する必要があります。

・ヘルメット着用したほうが安全なのは理解している
・しかし、着用を強制されるべきではない
・着用する権利があるならば、着用しない権利もあるべき

アメリカ人は自由であることを是する国民で、「自由の国、アメリカ」は彼等の誇りでもあります。

とは言っても、いろんな人種が一つの国で生活するにはルールが必要であることも理解しており、ルールは最低限にして可能な限り自由を脅かさない、ということを好む国民性です。

ヘルメット規制は銃規制と似ている

銃規制も同様ですね。

これも日本人からすれば「なぜ国が完全な銃規制をしないのか?」と思うかもしれませんが、アメリカでは自衛や狩猟のために銃を持つことは権利として認められており、これを放棄することは自由を侵害されることに他ならないからです。

日本では「全米ライフル協会(NRA)の権力が絶大だから銃規制が進まない」という報道がされていますが、これは一面的な捉え方に過ぎません。

アメリカでも銃を持たない人は多いですが、彼等が全て銃規制に賛成しているわけではありません。

a) 武器が嫌いで銃を持たない人
b) 銃を持とうとすればいつでも持つことができるが今は(銃を)持っていない人

このa)とb)は同じではないのです。

つまり、銃を持っていない人の中にも銃規制に「反対」する人が一定数存在します。

ヘルメット規制も同様に、

「ヘルメットを着用するのもしないのも、ライダーに選択する自由があってしかるべき」

という考え方なんですね。

日本は国が義務化してルールを強制しますが、自由や権利よりも「安全」を優先されます。

「自転車乗車時のヘルメット着用義務化」なんか正にそうですね。

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対してアメリカは、

・ヘルメット被らないのは危険だが自己責任
・ヘルメットを被って自身の安全を守るのも、被らないで爽快さを味わうのもライダーの自由であるべき

という考えが多いです。

赤色の州以外、全体の6割はそういった考えも考慮して制限付きのヘルメット規制になっています。

アメリカのヘルメット規制:どちらがいい悪いではない

ということで「お国が違えば規制も違う」って話ではありますが、どちらがいい・悪いではないと思います。

遺族のことを考えれば、ヘルメット着用義務化はしかるべき、という人の気持ちもわかりますが、どこまで国が関与すべきなのか、という議論もあります。

例えば、登山もかなり危険なスポーツです。

高尾山あたりなら超安全ですが、北アルプス・南アルプス、八ヶ岳連峰などは例年死亡事故が起きるほどの山です。

だからと言って「登山自体禁止にする」という議論は行き過ぎで、安全に配慮しながら自己責任で楽しむというのが現在のルールです。

個人的にはヘルメットの着用は個人判断でもいいんじゃないか、というアメリカ派です。

服装もライダー個人が好きな服を着ればいい、安全装備は自己責任で、という考えです。

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とは言え、日本はヘルメットの着用は義務ですから、法令に従って着用しますけどね。

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ルールと権利はどこで折り合いを付けるか、というのは国によって考え方が違うので、非常に興味深いです。

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