※当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

車のヘッドレストは何のためあるの?レスト=休憩ではないよ、って話

この記事は約5分で読めます。

車のシートの頭の部分についているヘッドレスト。

頭を休めるには位置がイマイチだし、そもそも運転中にヘッドレストに頭を付けないですよね。

これって何のためについているのでしょうか?

今回はこの不思議なヘッドレストについて解説します。

ヘッドレストは”head rest”ではない?

「ヘッドレスト」=”head rest”と思っている人が少なくありません。肘置きを「アームレスト(arm rest)」っていいますからね。

レスト(”rest)は「休む、休息する、休憩する」という動詞なので、つい頭を休める枕のようなものを想像してしまいます。

しかし自動車のヘッドレストは”head restrain”のことで、”restrain”は「拘束する、押さえつける」という意味なんです。

ヘッドレストは頭を休息させるのではなく、追突時のムチ打ち症を防ぐ安全部品

車のヘッドレストは、枕のように使うものではありません。

追突時に乗員の頭部が慣性の法則で後ろに持っていかれないようにするための安全部品なんです。

かつて自動車にはヘッドレストが無く、追突事故が起きるとムチ打ち症になる人が少なくありませんでした。

ムチ打ちで済めばまだいいほうで、中には頚椎損傷で半身不随になってしまうこともあるそうです。

そういった事故に有効な安全装備としてヘッドレストが装備されるようになりました。

ヘッドレストの装着根拠

ヘッドレストは保安部品として道路運送車両法によって装備が義務付けられています。

道路運送車両法による規制

ヘッドレストを取り外して運転することは道路運送車両法違反となります。

第二十二条 座席は、安全に着席できるものとして、着席するに必要な空間(運転者席にあつては、運転するに必要な空間)及び当該座席の向きに関し告示で定める基準に適合するように設けられていなければならない。
(略)
4 前項の自動車(次に掲げる自動車を除く。)の座席の後面部分は、当該自動車が衝突等による衝撃を受けた場合において、乗車人員を保護するものとして、構造等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。ただし、前項各号に掲げる座席にあつては、この限りでない。
一 乗車定員が十一人以上の自動車(高速道路等において運行しないものに限る。)
二 貨物の運送の用に供する自動車
http://elaws.e-gov.go.jp/

4項の「…構造等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。」でいう告示とは、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示によって定められています。

自動車:道路運送車両の保安基準(2023年6月5日現在) - 国土交通省
国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。

上の国交省のリンクを見るとわかりますが、車の保安基準について事細かく定められており、ヘッドレストを外すことは保安基準に適合しないので不正改造にあたります。

道路運送車両法の99条では不正改造が禁止されています。

(不正改造等の禁止)
第九十九条の二 何人も、第五十八条第一項の規定により有効な自動車検査証の交付を受けている自動車又は第九十七条の三第一項の規定により使用の届出を行つている検査対象外軽自動車について、自動車又はその部分の改造、装置の取付け又は取り外しその他これらに類する行為であつて、当該自動車が保安基準に適合しないこととなるものを行つてはならない。
http://elaws.e-gov.go.jp/

そしてその不正改造された車両を運行することは、道路交通法の62条で禁止されています。

(整備不良車両の運転の禁止)
第六十二条 車両等の使用者その他車両等の装置の整備について責任を有する者又は運転者は、その装置が道路運送車両法第三章若しくはこれに基づく命令の規定(道路運送車両法の規定が適用されない自衛隊の使用する自動車については、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第百十四条第二項の規定による防衛大臣の定め。以下同じ。)又は軌道法第十四条若しくはこれに基づく命令の規定に定めるところに適合しないため交通の危険を生じさせ、又は他人に迷惑を及ぼすおそれがある車両等(次条第一項において「整備不良車両」という。)を運転させ、又は運転してはならない。
(罰則 第百十九条第一項第五号、同条第二項、第百二十条第一項第八号の二、同条第二項、第百二十三条)
http://elaws.e-gov.go.jp/

罰則は?

ではヘッドレストを外したまま運転すると、どのような罰則があるのでしょうか?

・制動装置に不備
・ブレーキランプ、ウインカーランプが動作しない、色が違う(橙色でない)
・消音器(マフラー)に不備

がある場合は、交通反則告知書(青切符)の対象となり、違反点数の加算と反則金が課せられますが、それ以外の不正改造については道路運送車両法108条で規定されています。

第百八条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一 第四条、第十一条第五項、第二十条第一項若しくは第二項、第三十五条第六項、第三十六条、第三十六条の二第七項(第七十三条第二項において準用する場合を含む。)、第五十四条の二第七項、第五十八条第一項、第六十九条第二項又は第九十九条の二の規定に違反した者

これは非反則行為(赤キップ)に相当しますが、違反点数の規定が無いので罰金+整備命令書になります。

整備命令書を受けると、15日以内に必要な整備を行って管轄の陸運支局に車両を持ち込んで検査を受けなければなりません。

ただ実際のところ、ヘッドレストを外して運転して違反切符を切られた話はあまり聞かないので、現場では口頭注意で済ませているケースも多いように思います。

ヘッドレストのまとめ

・ヘッドレストの「レスト」はrestrain=押さえつける、という意味
・ヘッドレストは保安部品なので外すと不正改造になる
・ヘッドレストは追突時の首、頚椎を守るものなので無闇に外さないこと

今回、なぜヘッドレストを取り上げたのかと言うと、前にタイムスカーシェアリングを借りようとしている大学生風の男女4人組が、出発前に運転席と助手席のヘッドレストを外していたんですね。

最初は「何で外してるんだろう?」と不思議に思っていたら、前席と後席で話をするのに邪魔だったのでしょう。

彼らはヘッドレストを外すことが違反になることを知らなかったのだと思いますが、僕の周りにも「あれって何のためにあるの?」「無くても別にいいよね?」という認識も多かったので、今回記事にしてみました。
 

コメント

タイトルとURLをコピーしました