トヨタ アルファードやニッサン エルグランドなどの、3列シートでワゴンタイプの車を「ミニバン」と呼んでますよね。
これらの車は全長/全幅/全高が大きいのに、なぜ「ミニバン」と呼ばれているのか不思議に思ったことはありませんか?
今回は大きいのに「ミニバン」と呼ばれる由来について解説します。
その前に「バン」とは
その前に「バン」って何よ?って話です。
バンとは荷物を運ぶ車のことで、元々は幌のついた馬車や貨車のことを指します。
トラックは荷台がオープンで、運転席と荷台が別れていますが、バンは運転席、客席と荷台が一体の車を指します。
代表的なところではトヨタのハイエースなんかそうですね。
ちなみにハイエースは海外、特に新興国ではミニバスとしての需要が高いために盗難車ランキングで常に上位に入ります。人も荷物も積める上に、トヨタ車は世界中で部品が入手出来るので窃盗団に大人気です。
それだけユーティリティ性が高い証拠なんですけどね。
他にもキャラバン(ニッサン)、ボンゴ(マツダ)、コモ(いすゞ)なんかもそうですね。
話が逸れました。貨物室と客室が一体型の車が「バン」と呼ばれる車です。よく「商用バン」なんて言われますね。
フルサイズバンとは
そもそもバンという名称は英語が由来であり、アメリカの商用バンがルーツにあります。
アメリカではこの商用バンが実に多く走っており、ハワイやラスベガスなどの観光地で日帰りツアーなどを申し込むと、大体こういうフルサイズのバンが迎えにきてくれます。
10名以上乗車して荷物も積めるので、日本でいうところのマイクロバスに相当します。
このフルサイズバンは全長が5.5m以上、全幅も2m以上もあって、10人以上は楽に乗れるぐらいの積載性能があります。
ちなみに日本では普通免許、旧普通免許(現在の中型免許8t限定)で定員11人以上の車両は運転できず、ハイエースの10人乗りまでしか運転出来ません。
GMCサバナパッセンジャーというフルサイズバンは乗車定員が12~15人タイプがあるので、日本では普通免許で運転できません。(要中型免許)
しかしアメリカの免許であればClass C(非商用、乗員14名まで)があれば運転できるので、送迎に多く使われたりします。
ミニバンとは
フルサイズバンが全長5.5mを超えて10人以上の人を乗せられるのに対して、ミニバンは全長が5m以下、全幅が2m以下で定員が最大でも7名程度のコンパクトなパッケージにしています。
つまり、フルサイズバンをダウンサイジングしてコンパクトにしたものが「ミニバン」なんです。
アメリカでミニバンといえば、オデッセイ(ホンダ)やシエナ(トヨタ)、パシフィカ(クライスラー)が有名です。
日本のミニバンは全高が1800mm以上あるのに対して、アメリカのミニバンは1600~1700mm程度と若干低いです。
これは、道路環境や自動車税の違いによる影響が考えられますが、面白いことに日本のミニバンをアメリカに持っていっても「中途半端なサイズのバン」に見えてしまうので売れないのです。中途半端なミニバンを買うんだったら、フルサイズバンを買うわ~、なんですね。
最近アメリカのミニバンは、ミニバン自体がSUVに押されて売れなくなってきており、日本でもエスティマやオデッセイは室内空間が広いアルファードやエルグランド、ノアに押されて販売数を落としています。
ミニバンのまとめ
もともとはアメリカにフルサイズバンに対してワンサイズ小さいバンのことを「ミニバン」と呼ぶようになり、それが日本に定着しました。
日本にフルサイズバンに相当するセグメントが無かったのは道路事情や駐車事情によるところが大きかったのでしょう。
さすがに全長6m近くあって車幅も2mをゆうに超えるバンを自宅に駐車できる家庭はそうありませんし、商業施設に行っても駐車枠からはみ出すなど、一般家庭で使うにはちょっと大き過ぎる点がフルサイズバンが入ってこなかった理由でしょう。
そのため、日本の道路、駐車事情に徹底的にカスタマイズしたミニバンが大きく受け入れられたのは必然とも言えますね。
ただ一方では、この大柄なボディサイズと積載スペースはキャンピングカーよりもユーティリティ性が高く、アメリカナイズドされた大柄な車両を楽しむ愛好家には根強い人気があります。
僕も個人的には駐車スペースと予算が許せば、一度は所有してみたい車の一つです。子供が社会人になるまでは無理かな…。
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