SRに乗り換えて早1ヶ月。
マッシブなZRX1200Rから乗り換えた当初は「ちょっと失敗したかも」と思うぐらいの貧弱なパワーに戸惑ったものの、徐々にその性格に慣れて、次第にSRの面白さに気付かされるようになってきました。
ハッキリいってこのバイクはスルメです。
かじったときは海産物特有の生臭さしかしなかったのが、噛んでいく内に旨味がジワジワと口の中に拡がって、気づいたときは病みつきになっていた、そんな感じにさせるバイクです。
今回はそんな後からジワジワくる面白さについて語ってみたいと思います。
1.ブン回せる面白さ
確かに27psのエンジンはZRXと比べると非力です。
パワー比で言えば1/4。ハッキリ言ってショボいです。
乗り換えた当初はわかってはいたものの、その非力さに正直ガッカリしました。
しかし乗り込んでいくうちに、次第に全開にしてもさほど怖くないことに気づきます。
自分がコントロールできる範囲でエンジンをブン回して走ることができるのです。ライダーが余裕を持って扱えるところが面白い。
例えばZRX1200Rを公道で全開にするのはまず無理です。100%の力を発揮する場所は公道上には無いので、性能を余すこと無く堪能するにはサーキット、もしくはプライベートコースに行くしかありません。
恐らくサーキット走行やジムカーナなどをやっている人を除けば、ビッグバイクのパワーを余すこと無く引き出したオーナーさんはほとんどいないのではないでしょうか?
僕もその一人です。
余裕のあるエンジンで余裕のある走りも楽しいですが、マシンを操っている感というか乗りこなしている満足感はSRの方が高いです。
2.振動の面白さ
これはある程度知っていましたが、やはりビッグシングルのエンジンは振動が大きいです。
そのため、特に低速でのアクセル・クラッチワークには少し気を使って操作しないと、すぐにガクガクっとエンストしそうになります。
ただその一方で、時速50~60km/hを4速~5速で流すときの振動はメチャクチャ気持ちいいです。
高速道路を100km/hで1時間も走ると手とお尻がしびれますが、一般道を流しているときの振動は、まるで風呂上がりにマッサージチェアでブルブルされているような心地よさがあります。
特に土踏まずをステップに載せてるときの振動は、スーパー銭湯の湯上がりにあるコインフットマッサージャーのように気持ちがいいです(笑
とは言っても、40年のSRの歴史の中で講じられた防振対策が不快な振動を消しているため、今ではバックミラーが振動で見えないことはありません。(むしろZRXのほうが100km/hを超えるとバックミラーが振動で見づらくなる)
3.追い抜かれても頭にこない
ZRX1200Rに乗っていたときはワインディングでスーパースポーツや同じビッグネイキッドにぶち抜かれたりすると、熱くなって追いかけたりしていましたが、SRのパフォーマンスを受け入れてしまうと、速いマシンに抜かされても何とも思わなくなりました。
歳を取ったといわれればそうかもしれません。
言い訳に思われるかもしれませんが、速く走ることやヒザを摺ることに興味が無くなったんですね。
バイクに乗る価値観がそこに無いので、速いバイクに抜かされても何とも思わなくなりました。
ある意味これがSRに乗換えて得られた最大のメリットかもしれません。
4.足着きの良さによる絶大な安心感
シート高はZRX1200Rと同じ890mmなのですが、車体幅がスリムなので足着き性は抜群です。
身長172cmの僕だと両足ベッタリの上に膝が少し曲がるぐらいなので、バイクが多少傾いても足の力でカバーできます。
この安心感はメチャクチャ大きいです。
ZRXのときは踵が少し浮くぐらいの足着きだったので、路面が少しでも傾いていると跨ったまま移動することはまず無理でした。
そのためツーリング終盤で足が疲れてくると、ふとした気の緩みで立ちゴケしたことが何度かあります。
SRのこの足着きであれば絶対に立ちゴケしない自信があります。
いや、実際は立ちゴケするときがあるかも知れませんが、ライダーにそう思わせるのって凄くないですか?
SRであれば、多少傾斜のあるところでも跨ったままバイクを動かせるので、快適なことこの上ないです。
5.ほどほどにゆるい作り
スポークホイールはスポークのしなりで路面の凹凸を逃し、細いチェーンはSRのパワーを伝えるのにちょうどいいサイズだし、片押しのディスクブレーキは対向ピストンのキャリパーに比べて効きは甘いですが、車重を考えれば必要十分なブレーキサイズだと思います。
これらのゆる~い作りが醸し出す乗り味は、今となっては現代のカッチリ作り込まれた車両では味わえない魅力です。
もちろんこれらの仕様は狙って作ったわけではなく、コストとパフォーマンスのバランスを取った結果なのでしょうが、皮肉にもそれが魅力となっているところが面白いのです。
6.服装を選ばない
クラシカルなバイクは一見服装を合わせるのが難しいように思うかもしれませんが、実際のところ何を着てもそこそこ似合います。
いくらネイキッドとは言えZRXにチノパンで乗るのはファッション的に抵抗がありますし、カワサキのコーポレートカラーであるライムグリーンは服装を選びます。服装の選択範囲が狭まるというか。そのため、いつも乗る時は同じような格好になってしまいます。
それがSRだと、レザージャケット+レザーパンツや、レザージャケット+ジーンズといった定番のバイカースタイルはもちろん、スウェットパーカー+チノパンとかネルシャツ+チノパンといった、ゆる~いアメカジスタイルでも全然イケます。
バイク自体がオールドルックなので服装は何でもアリです。そういった懐の深さが気軽でいいのです。
スルメのようなバイクSR400のまとめ
ブログを見ていると、意外とビックバイクからSR400に乗り換えている人が多くて、「もっと気軽にバイクを楽しみたい」という想いがきっかけで乗り換えている人が多いようです。
バイクに乗らない人からは「どうして(前より)小さいバイクに乗り換えたの?」「せっかく大型バイク持っていたのにもったいない」なんて言われることが多いですが、乗っていない人にこの気持を説明してもわかってもらえないので、いつも適当に「いやー、なんとなく」とお茶を濁しています。
自動二輪免許を取って30年以上、一通りバイクに乗ってきてわかったような気になっていましたが、世の中にはまだまだ自分の知らない乗り味のバイクがあることに気づかされたのがSRです。
今まで以上に健康に留意して死ぬまでバイクに乗り続けたいと思います。
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