今すぐ日本の自動車税制を見直さないと日本は沈没してしまう、という話

若者が自動車を保有しない理由の一つに、よく取得・保有にかかる諸経費が高い!って言われますよね。

車を所有すると何かと金がかかるのはみなさんご存知の通り。

少子化に加えて若者が自動車を買わなくなって国内の新車販売台数は右肩下がり、自動車工業会長を務めるトヨタの奥田社長も政府税制調査会に対して自動車税の引き下げを要望しています。

今回、私が申し上げたいことは、自動車ならびに自動車産業そのもののあり方が大きく変わろうとしている時代に、従来の延長線上で自動車税制を議論していては、競争力・雇用維持力のある自動車産業であり続けるのは、難しくなる一方だということでございます。日本の自動車ユーザーが世界一高いレベルの税金を負担しているという事実を踏まえた上で、今年こそ、抜本的な税制改正に取り組んでまいりたいと考えております。
出典:http://release.jama.or.jp/sys/interview/detail.pl?item_id=809

今回は、なぜ日本の自動車関連税を引き下げないと日本が沈没してしまうのか?について書いてみたいと思います。

日本の自動車税は世界一高い

そもそもの話なんですが、「日本の自動車税は世界一高い」って知ってました?

思いつくだけでも、自動車取得税(購入時)/自動車税(毎年)/重量税(車検毎)/ガソリン税(ガソリン価格の約半分)がかかりますし、税金ではありませんが車検毎に自賠責保険の加入が義務付けられています。

仮に1.5Lクラスのファミリーカーを所有していると最低でも

・自動車税:34,500円/年
・重量税:25,200円/車検毎(2年)

の税金が必要です。(計算が面倒なのでここでは購入時の自動車取得税は考えません)

年間かかる税金は

34,500円(自動車税) + 12,600(重量税1年分) = 47,100円/年

なので1ヶ月あたりにならすと3,925円、おおよそ4,000円/月ぐらいの税金が毎月必要です。

しかもこれは税金だけで、これ以外にも自賠責保険、任意保険、駐車場代、ガソリン代がかかります。

とにかく、車を持つと家計からお金がドバドバ流出していきます。

海外の車の税金

一方、日本の自動車税は海外と比べてどのぐらい高いのでしょうか?

アメリカなどは、日本の排気量別に課税されているような自動車税は存在せず、ナンバープレート代(車両登録税)が1,000~15,000円かかります。

金額に幅があるのは、例えばウィスコンシン州だと45ドルぐらいですが、カリフォルニア州だと100ドルといったように、週によって課税額が異なります。

しかし、車両登録税が年間100ドルだとしても、月に均せば8ドル(800円)強ですから日本の1/5で済みます。

新車が売れない、中古車も売れない

これもすでにいろんなところで言われていますが、日本は新車販売台数が漸減(ぜんげん)しており、1990年には700万台超あった新車販売台数が、2017年には500万台強まで落ち込んでいます。

この30年で200万台の需要が無くなったわけで、仮に1台200万円と仮定すれば4兆円もの需要が消えたことになります。

消費税を1%上げたときの税収が2兆円と言われていますから、消費税2%に相当する需要が消えたわけです。

若者が自動車を買わなくなった

新車が売れなくなった理由の一つに少子化による影響に加えて、若者が車を所有しなくなったことが挙げられます。

住んでいる地域でも異なるのでしょうが、電車などの公共交通機関が発達している地域では特に顕著です。

よく「今の若い子は車よりも楽しいことがたくさんあるから」と言われますが、でも話を聞いてみれば実は「お金があれば車欲しい」という若い人も少なくありません。

僕が思うに、お金の使い方というか、使う優先順位が変わったんじゃないかと思います。

僕らアラフィフ世代が社会に出始めたときは、まだ携帯電話もネットも無かったですから、自動車はかなり重要なレジャーアイテムでした。

車を所有していること自体がステータスだった時代でしたし女の子もそれを求めていた部分がありましたから、多少無理してもクルマを所有することには恋愛的合理性(笑)がありました。

しかし時代と共にレジャーが多様化して、自動車は若者の必須アイテムでは無くなってきました。

特に若い世代ほどスマートフォンは必需品で、収入の中から月に5~6,000円のスマホ代を負担しなければならないことを考えれば、クルマの必要性は相対的に低下しています。

「スマホは無くてもいいけど、クルマは絶対に欲しい!」なんて若い人はまずいませんよね。

ほとんどは「クルマはレンタルで十分だけど、スマホは無いと絶対に困る!」でしょう。

スマホ代に加えて、さらに4,000円+ガソリン代+駐車場代を毎月負担しなければクルマを持てないのですから、そりゃクルマを買う気なんて起きませんよ。

シェアリングエコノミー

シェアリングエコノミーとは、コインパーキングなどに常設してあるレンタカーで、会員になっていればスマホから簡単に予約できて15分単位で借りることができるサービスです。

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レンタカーも広義の「シェアリングサービス」と言えますが、コインパーキングで借りられる車は、あらかじめ会員登録をして専用カードキーを発行してもらうので、レンタカーのような貸出/返却の手続きが不要な点がすごく便利です。

ウチの辺りは永らくシェアリングエコノミーサービスの空白地帯だったのですが、先日タイムス24のタイムスカープラスがオープンしたところ、予約が取れないぐらいに繁盛しているそうです。

高齢化で車を手放す人も少なくないことや、週に1~2回しか使わないのに駐車場代を負担するのが重い、という人たちがシェアリングエコノミーに乗り換えるケースが多いのです。

日本の自動車産業は裾野が広い、広すぎる

若者が車を買わなくなった、シェアリングエコノミーで壮年層も車を所有しなくなったことで、国内需要が細ると国内自動車メーカーが打撃を受けます。

冒頭の豊田自工会会長の提言は、まさに国内需要の低下に対する危機感の現れです。

自動車メーカーは全ての部品を作っているわけではなく、個々の部品は中小の部品メーカーから購入しているのです。

つまり自動車産業というのは自動車メーカーを頂点として、各部品メーカーがその下にぶら下がっているピラミッド的な構造です。

自動車メーカー、部品メーカー、二次請け、三次請けなど中小の部品メーカーを合わせると、日本の全産業の労働者(6,530万人)のうち8.3%(539万人)が従事している産業なんですね。

JAMA - 自動車産業

大雑把に言えば、日本は10人のうち1人は自動車関連の仕事に就いていることになります。

それだけ裾野が広い産業ですから、自動車が売れなくなるということは日本経済に対する影響がとてつもなく大きいことを意味するわけです。

自動車税を引き下げてもっと所有しやすい環境を

しかし、人々の趣向が全く変わってしまって自動車が売れないのならまだしも、若い人もシニアもお金があればクルマを所有したいという潜在ニーズはあるのですから、この世界一高い自動車関連税を緩和して、自動車を所有しやすくすることは今すぐに出来る景気対策です。

というか今やらないと、自動車離れが進んでしまってからでは手遅れになります。

僕の回りでも

「駐車場代を毎月15,000円払ってまで車を所有する意義って何だろう?」

と疑問を持つ人が増えてきており、実際に車を手放す人も少なくありません。

現に近所のマンションでは、今は空きが増えて駐車場収入が入らず大変、という声もよく耳にします。かつては申込みが多くて抽選で割り当てていた敷地内の駐車場が今や値下げしないと契約者が出てこない。

今から20年ぐらい前までは、公共交通機関が発達している都市部で自動車を持つことはある種「ステータス」でした。

週末しか乗らなくても自家用車を所有していることはそれだけで余裕のある家庭だったわけです。(ご近所さんに対する見栄も多分にありました)

しかし現代では人々の価値観も変わり「使わないモノにお金をかけるのは無駄」「車は必要な時に借りればいい」という価値観のほうが多くなってきました。

日本の基幹産業と言っても過言ではない自動車産業を活性化するには、まずは国内需要を上向かせることが必要で、それには世界一高い自動車関連税を軽自動車並に引き下げて月々の負担を減らし、自動車を所有する需要を喚起することが重要です。

まとめ

こんなこというと「日本はIT技術や宇宙開発技術に優れているのだから、そちらを伸ばせばいいのでは?」なんて言う人もいますが、スパコンの分野では辛うじてトップ集団に食い込んでいるものの、それ以外のIT分野では世界より1周以上も遅れています。

ITや宇宙開発に投資しても、花を開くのは何年も先の話。

それよりも自動車関連税を引き下げるなどの税制改革を行って潜在需要を掘り起こすほうが余程簡単で確実です。

ガソリンの二重課税の話など、まだまだ税制次第で需要を掘り起こせる余地があるのですから、是非とも政府与党に取り組んで欲しいと思います。

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