去る4月5日、警察庁はAT小型自動二輪免許の教習にかかる日数を、最短3日から2日に短縮する方針を固めたとの報道がありました。
これは以前、当ブログでも取り上げた原付2種(~125cc)市場を活性化させるために産業界から出されていた要望(免許範囲の拡大or小型二輪免許取得の簡易化)に行政が応えた形です。
4/9からパブリックコメントを実施し、道路交通法施行規則を改正して今夏にも導入する予定とのこと。
個人的には、普通免許の範囲が拡大してAT限定小型二輪免許を付与するぐらいでもよかったと思いますが、そうなれば自動車教習所の猛反発が予想されますから、大人の事情を勘案して今回のような落とし所になったのでしょう。
改正のポイント
普通免許を所持する人がAT小型二輪を取得する場合は、技能教習を8時間受けなければなりませんが、従来は技能教習は1日3時間が上限だったので、取得するには最短で3日かかります。
そこで、技能教習の上限を1日3時間から4時間に変更することで最短2日で取得できるようにする、というのが今回の改正です。
要するに技能教習の上限を3時間/日から4時間/日にしただけです。
一応「従来は最短でも3日かかっていたのが最短2日になれば、土日で取得できるようになる」ということですが、そもそも125ccスクーターに8時間も教習が必要なのだろうか?という気がしなくもありません。
なぜAT小型二輪に8時間の技能教習が必要?
AT小型二輪の取得に最低8時間の技能教習が義務付けられているのは、原付1種よりもパワーの大きい二輪車を扱うために必要な完熟時間である、というのが主な理由ですが、それであれば普通免許取得時に原付講習が義務化されていないのは矛盾します。
普通免許には原付免許も付帯しますが、原付講習を受けなくても免許は付与されます。(講習は義務ではないので)
「50ccはミニバイクでパワーが無いから危険ではない」なんて言われても素直に納得しづらいものがあります。
原付バイクは、交通の流れに乗れない速度制限(30km/h)があって、しかも低速安定性が悪いショートホイールベースに小径タイヤですから、本来は原付1種こそ技能教習が必要だと思います。
個人的には、AT小型二輪の技能教習は4時間も乗れば十分だと思いますが、それだと今まで8時間分の売上があった自動車教習所が困りますから、いろんな理由を付けて現状の教習時間(8時間)の正当性を訴えるのは目に見えています。
警察庁も安易に簡素化すれば「民業圧迫だ!」と言われかねないので、今回の「1日の技能教習時間の上限を変える」というのは警察、教習所共に困らない改正案なのでしょう。
AT小型二輪免許取得簡易化のまとめ
・1日の技能教習時間を3時間/日から4時間/日に緩和される
・それにより最短3日かかっていたのが最短2日に短縮される
現状よりはAT小型二輪が取得しやすくなる方向なので歓迎すべきではありますが、これで業界団体が期待している原付2種市場が活性化するかと言えば微妙ですね。
そもそも原付スクーターが普及したのは普通免許に付帯していた面が大きいですから、コミューターバイク市場を活性化させたいのなら、海外と同様に普通免許にAT小型二輪免許を付帯させるぐらいやらないと厳しいと思います。
コメント