自動車教習所って運転のコツや道路法規についてはかなり詳しく指導してくれますが、その反面、運転技術に直結しないエアコン操作についてはあまり教えてくれません。
というか生徒さんの目標は検定試験をパスすることなので、試験で問われないエアコン操作なんて二の次なんですね。
でも免許取得して車に乗るようになると一部の時期を除いてほぼ毎回使うのがエアコンです。
車のエアコンの使い方なんて教習所では教わらないので、意外と「使い方の知らないスイッチが結構ある」というドライバーも少なくありません。
「なんとなく今まで聞きそびれた」「適当に使っていた」「使わなくても困らなかった」という声もよく聞きますので、今回は初心者向けに、カーエアコンスイッチの使い方を解説したいと思います。
カーエアコンの機能はどの車種もほぼ同じ
ウチの車のエアコン周りの操作スイッチです。
見てのようにオートエアコン(温度を設定するとファンの風量を自動で調節)ではありません。(笑
高級車も大衆車も、オート/非オートエアコンの違いはあっても基本的な機能は大差ありません。
①外気導入-内気循環スイッチ
このレバーを左側にすると内気循環モードになります。オートエアコンだとスイッチON/OFFで内気循環←→外気導入を切り替えられます。
車内の空気を循環させてエアコンで温度調整するので、車内を早く暖めたい/冷やしたいというときはこの内気循環モードを使います。
しかしこの内気循環モードを使い続けると、だんだん車内の空気が澱んできます。
そういうときは、このスイッチを右にスライドして外気導入モードにすると、社外のフレッシュな空気を取り込んで車内を換気してくれるわけです。
ただし、当然ですが外気を取り入れるので一時的にエアコンの効果が無くなってしまいます。このあたりは家で換気するのと同じです。
外気導入モードで注意する点は2つ。
・工業地帯、牧場地などを通過するときは使わない(臭いがキツい)
実際には、普段は内気循環モードで使い必要に応じて一時的に外気循環モードにする、という使い方が一般的です。
②エアコン(A/C)スイッチ
このA/CスイッチがONになっていないと、ただの送風モードになります。
夏場はA/Cスイッチが入っていないと涼しい風が出てこないので気づくのですが、冬場はA/Cスイッチが入っていなくても暖かい風が出てくるんですね。紛らわしいことに。
そのせいか「車のA/Cスイッチはクーラー専用」なんて思っている人もいますが、実はそうではありません。
エアコンは冷媒を圧縮/膨張させることで、そのときに発生する圧縮熱と気化熱によって空気を温めたり冷やしたりしますが、その圧縮/膨張にはコンプレッサーを使います。A/CスイッチをON=コンプレッサーが動作、です。
夏場は冷媒が膨張(気化)するときに周囲の熱を奪う「気化熱」によって空気を冷やすので、コンプレッサーが動作しないと冷房になりません。
一方、冬場は空気の加熱にエンジンの排熱を利用するため、コンプレッサーが動作していない状態でも暖かい空気が出てきます。
じゃあ冬場はA/CスイッチをONにしなくてもいいのでは?と思うかもしれませんが、そのまま使い続けると車内が曇ってしまうことが多いです。
というのも、その状態は単に車内の湿った空気を温めただけなので、湿度の高い車内空気が窓付近で結露してしまうんですね。そんな状態でデフロスターをONにしても、余計曇りが広がるだけです。
冬場にA/CスイッチをONにすると車内の空気が適度に除湿されるので、曇りにくくなります。
仮にフロントガラスが曇ったとしても、後述するデフロスターを使えば曇りは解消されます。
…ということで、車内を冷房/暖房したいときは素直にA/CスイッチをONにして使うのが正しいです。
③リアデフォッガー
車のリアガラスに一筆書きで書かれているような線が貼られていると思います。
上の画像はリアのハッチバックを上げたところですが、ガラスの部分に横線が入っています。これが曇り止め用の熱線です。
正式にはデフォッガー(defogger)と言います。fog(曇り)を取るのでde-fogger。
このデフォッガーは、通電すると線自体が温まって(熱線)周囲の結露を蒸発させる優れものです。
とは言ってもデフォッガーは意外と消費電力が大きいので、常時ONしておくものではありません。必要時に必要なだけ使うようにしましょう。
四角に立て波線×3がリアデフォッガー、扇型に立て波線×3は下で説明するデフロスターです。
④デフロスター
これはフロントガラスが曇ったときに使います。
フロントガラスの下側、ダッシュボードの奥を見るとフロントガラスに沿って空気吹き出し口が見えると思いますが、エアコンをこのデフロスターにすると、空気がフロントガラスに沿うように吹き出されてガラスの結露を乾かしてくれるのです。
一般的に冬場は空気が乾燥していますが、車内は人間の吐息で湿度がどんどん上昇していきます。
湿った暖かい空気が冷たいガラスに当たると空気中の水分が結露してしまいます。そういうときに、エアコンの送風モードをデフロスターモードにすると結露を除去してくれるわけです。
ただしそのまま換気しないとデフロスターモードでも結露が取れにくくなるので、そういうときは①の外気導入モードにするか、一時的に窓を開けて車内を換気するといいです。
ちなみに夏の場合は、冷やされた空気がフロントガラスに当たって外気の湿った空気が外側で結露する場合が多いです。
そういうときはエアコンの送風モードがデフロスターになっている場合が多いので、普通に車内吹き出しにして、フロントガラスの結露はワイパーで除去します。
まとめ
今回取り上げた内容は、車に好きな人にとっては当たり前のことばかりですが、生活上必要に駆られて使っている人にとっては、意外と知らない人が少なくありません。
よく「そんなの説明書読んでいないのが悪い」とか「操作マニュアルに書いてる」なんて言う人もいますが、そもそも車の説明書ってそんなに端から端まで熟読する人って少ないですよね。
何年か前に実家で法事があったときの話なんですが、親戚の車のダッシュボードの上にタオルを置いてあったんです。
帰りにたまたま自宅まで乗せてもらったときに、タオル何に使うのか聞いてみたら「最近ガラスが曇るからこれで拭くんだよ~」って言うわけですよ。
僕は親切心で教えてあげようと思って
親戚「あー、そんな難しいこと言われてもさっぱりわかんね。いいんだよタオルで拭くから!」
新車のデミオに乗ってこれですからね(笑
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