2017年9月1日、ヤマハは代表モデルとも言えるSR400の生産終了を発表しました。(哀
SR400と言えば30年以上も発売当時から変わらぬ姿で販売され続けてきた、同社の代表モデルとも言っても過言ではないバイクで、この報道にびっくりした人も少なくないのではないでしょうか。
僕もこのSR400には少なからず思い入れがあるので、バイクファンとしては少々寂しくもあります。
今回はこのSR400の思い出話をつらつらと書いてみます。(今回は何の結論もありませんので…)
SR400は当時からクラシックモデルだった
SR400が発売された1978年はバイクの高性能化が急速に進んだ時代で、上位モデルは空冷から水冷になりより高出力化していった時代でした。
当時小学4年生だった僕は、同級生が仮面ライダーや宇宙戦艦ヤマトで盛り上がっている中、年の離れた兄貴が買っていた月刊オートバイを眺めているうちにバイクに魅せられいきました。
当時発売されたばかりのCB750Fのプラモデルを買って意気揚々と組み立てている小学生でした。CB900Fのほうが先に輸出専用車で発売されてその後にCB750Fが発売されたので、もしかしたら小学5年生だったかもしれません。
とにかくあの未来的なデザイン(当時のCB750Fは本当にそう見えた)に魅せられて、小遣いを貯めてプラモデルを買った思い出があります。なんというか、戦隊モノとかヒーローモノが子供っぽく見えて(子供なのに)全く興味が持てず、実在するバイクにどんどん惹かれていきました。バリバリ伝説の連載が始まる5年前ぐらいだったと思います。
そんな時代の中、あえて空冷単気筒でクラシカルスタイルのSR400が発売されたんです。
このSR400は年代を経てクラシカルな位置づけになってきた、という訳でなく、当時からクラシックな雰囲気を狙ったバイクだったんですね。
僕が初めて原付免許を取ったのが1986年だったので、改めてSR400の発売時期を聞くとさほど昔でも無かったことに驚きます。
発売当時は新車で39万8千円だった
当時16歳だった僕はヤマハ サリアンというスクーターで通学していたんですが、エンジンオイルを買いに自転車屋(兼バイク屋)に行くと、オジサンがいつも缶コーヒーをおごってくれたんですね。(当時の50ccは2ストロークだったので、オイルを継ぎ足す必要があった)
当時は3ない運動(バイクを買わせない、乗らせない、免許を取らせない)が盛んなときだったので、学生服でスクーターに乗ってるのをずいぶん珍しがられました。
オイルの臭いが充満したお店で甘い缶コーヒーを飲みながら、バイク雑誌に掲載されたSR400の新車価格が398,000円だったことを今でも覚えています。当時は消費税が無かったからこれがそのまま売価。
当時は高校生でお金が無かったんで、どんなにアルバイトをがんばっても新車のGPZ400(当時新車で50万ぐらいだった)は買えるはずもありませんでしたが、39万8千円だったらがんばればなんとか手が届くかも…と思わせてくれる価格でした。
実際は乗出しで45万ぐらいになるので結局買えなかったんですけどね。
で、たまたまそのSR400の広告ページをずーっと眺めていたら「試乗車あるけど乗ってみる?」っておっちゃんが言うんですね。
僕「え?いいの?俺、金無いから買う気ないよ?」
オジサン「知ってるよ!いつも安っいオイルしか買ってかないからなwww」
オジサン「でもこないだ中型取ったんだろ?試しに乗ってみるか?」
って言ってくれるので、試しに乗ってみたんですね。
これがまた教習車のCB400と比べると一回り小さくて、車体も軽いし足つきも良いのに、ストトトトって太いトルクで走り出すのがなんとも独特で、初心者でも乗りこなすのが楽なバイクだったことを思い出します。
でも当時は若かったから、こんなオッサン臭いバイクよりはGPz400とかVT250とかRZ250とかに乗りたかったんでそれほど気にかけていませんでした。
その後、バイト先の2つ上の先輩がセパハンにバックステップ、ショートマフラーを付けた、いわゆるカフェレーサー風のカスタムを施したSRで通っているのを見たときは「これはこれでカッコイイなぁ…」と思ったりしたものでした。
17年後に再びSR400と出会う
社会に出て10年後、32歳のときに再びSR400と出会います。
大学生のときに限定解除して社会人になってすぐにGPZ900R(中古)を買ったんですが3~4年ぐらいで仕事が忙しくて手放したんです。ちょっとバイク熱が冷めたのもありました。
それからは趣味として乗るよりも通勤用としてスクーター(Dio)に乗ったり、中古でXJ400やTW200とかあまりこだわりなく適当にバイクを乗り継いでいました。車も持っていたので、セカンドカー的にバイクを使っていた感じです。
32歳のときに、友人が海外の大学院に留学するのでバイクを2年ほど預かって欲しい、って頼まれたんですね。
当時TW200を盗まれてバイクを持っていなかったんで「預かってもいいけど、普通に乗っていいなら。車検は自分が通すけど」って条件で預かることにしたんです。
ひょんなことで預かったSR400ですが、これがまた乗れば乗るほど味があって面白いバイクでした。
もちろん加速やトップスピードなんかはGPZ900Rとは比べ物にならないんですけど、近所をぷらっと走ったり、コンパクトロッドとルアーを持ってシーバス釣りに行ったり、山道を攻めるんじゃなくてトコトコ走ったりするのが実に気持ちがいいバイクなんです。
友人が留学から帰国したときに「多分あいつはバイク熱が冷めているだろうから格安で買い取ってやるか」なんて思っていたらきっちり引き取りにきたので、かなり情が移っていましたが約束通り元の飼い主に返しました。
なぜ生産終了?
…と、懐かしさの余りしょーもない話を延々としてしまいましたが、なぜこんなロングセラーなバイクが生産終了になってしまうのかと言うと、平成28年排規制が今年の9月1日から施行されるので、排ガス規制をクリアしていない車種は作れなくなるんです。
もう少し詳しく言うと、欧州では先行して「ユーロ4」という世界で一番厳しい排ガス規制がすでに施行されており、日本もそれを受けて2016年10月に国交省から平成28年度規制が告示されました。その規制が実際に施行されたのが今年の9月1日です。
日本はユーロ4をクリアしないと欧州に輸出出来ないのですから、国内にも同等の規制が課せられてしまうのは4大バイクメーカーを抱える国としては仕方ないのかもしれません。
実はSR400は2008年に一旦生産終了しているんですね。
当時はキャブレター仕様のまま平成18年規制をクリアするのが難しかったので一旦生産終了となったんですが、その後の市場から生産継続の要望が相次いだため、燃料噴射方式を今の自動車と同じ電子制御方式(EFI:Electric Fuel Injection)に変え、触媒とマフラーを変更することで排ガス規制をクリアすることに成功、2010年にEFI方式で復活しました。
でもまた復活するのでは?と思う理由
今回、SR400以外にも、セロー、トリッカー、ドラッグスターなども生産終了が発表されており、ユーロ4に適応するのがいかに大変かを物語っています。
しかし、最近ではDucatiのScramblerやTriumphのストリートスクランブラーが火付け役となってスクランブラー人気が再燃してきており、その層を狙った商品としてSCR950やXSR900といったスクランブラー風モデルを投入してきています。
恐らくこれからバイクは性能一辺倒を追求してきた今までと違って、ファッションやライフスタイルに敏感な若者を取り込んでいく必要があるので、ネオクラシックの王道を行くSRの穴を埋めるモデルを必ず投入してくるだろう、というのが僕の見立てです。
実際、ヤマハのホームページには「SR400(生産終了)」とありますが、一方では「なお、SR400は後継モデルの開発に取り組んでおります(発売時期未定)」とあるので、SRの名を引き継ぐモデルが近々出てくることは間違いありません。
早ければ2018年3月のモーターサイクルショーでお披露目されるかもしれませんね。
他社も同様に既存モデルを大幅に生産終了しているので、来年のモーターサイクルショーは目が離せないです。
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