よく聞くのが「趣味がスキー/スノボなので車は絶対に4WD」というのがあります。
主に自分一人が運転して家族はあまり運転しないとか、燃費はあまり気にしない、というのであれば全然いいのですが、普段は奥様が買い物や子供の送迎につかったり、ウィンタースポーツはするけど、年に10回以下というのであれば、4WD車を選択することが本当に正しいかどうかを考えるべきです。
今回はその理由を、2WD/4WDの違いを交えて説明したいと思います。
2WD?4WD?何それ?
2WDとは、”2 Wheel Driving”の略で、自動車の動力輪が前輪もしくは後輪の2輪であることをいいます。
対して4WDとは、”4 Wheel Driving”の略で、前輪も後輪も駆動します。世界的にはAWD(All Wheel Driving)と言いますね。
4WD車にも2種類あって、常時4輪駆動のフルタイム4WDと、必要なときに4輪駆動にするパートタイム4WDがあります。
後者は必要なときだけ4WDにして、それ以外は2WDで運用できるので、通常時の燃費は2WDと変わりません。
2WDにはFFとFRがある
2WD(二輪駆動)には駆動方式にFFとFRの2種類があります。
FFとは”Front-engine, Front-drive”の略で、エンジンが前方に配置された前輪駆動車のことを言います。現在の乗用車はほとんどがこのFF式です。
FRとは”Front-engine, Rear-drive”の略で、エンジンが前方に配置された後輪駆動車のことを言います。
30年ぐらい前の乗用車はこのFR式がほとんどでしたが、「エンジンが前方に積んであるのだから前輪で駆動したほうが効率がいい」ということで次第に前輪駆動車が増えていき、今はでは一部のスポーツモデルを除いてほぼ全ての乗用車がFF車になっています。
例えばタクシーにはFR車が多いです。(新型車はFFですが)
タクシーに乗ると、左後席と右後席の間の足元が盛り上がっているのを見たことはないでしょうか?
あの部分は、フロントのエンジンで発生した動力を後輪に伝えるためのドライブシャフトが通っているために盛り上がっているんです。
それが駆動方式をFFにすると後輪までのドライブシャフトが不要になるので、後部座席をより広くすることができることもFF車の普及を後押ししています。
タクシーの後席に3人乗ると、真ん中の人はひざが高く上がって窮屈ですよね。FF車ではひざが上がらない分、少しマシです。
4WDのメリット/デメリット
4WDのメリットは何と言っても悪路走破性が高いところでしょう。
2WD車で駆動輪が2つともスリップしてしまったらお手上げですが、4WDは4輪とも駆動輪なので3輪がスリップしてもどれか1輪でもグリップすれば動力を路面に伝えることができます。
一方、4WDのデメリットは4輪全てを駆動するために2WDと比べると燃費が悪い傾向にあります。
また4輪全てに動力を伝えるための機構(LSD:リミテッドスリップデフ)が増える分、同クラスの2WD車と比べて車重が重いことが挙げられます。車重が重いことも燃費を悪化させる要因の一つと言えるでしょう。
2WDのメリット/デメリット
一方、2WDのメリット/デメリットは4WDのそれと全く逆です。
<メリット>
・車重が軽い
・燃費がいい
<デメリット>
・悪路走破性に劣る
まぁ当たり前ですね。
4WDは便利だが、必ずしも必要ではない
冒頭の話に戻りますが、ウィンタースポーツが好きだから車は4WDでなければならないか?というと必ずしもそうとは言えません。
最近のスキー場は雪道の運転に不慣れなドライバーでも安心して来られるように、除雪がしっかりとされているので、2WD+スタッドレスタイヤで行けないスキー場はほとんどありません。
年に10回程度しか降雪地方に行かなくて、普段は雪のない街で車を使う場合は、4WD車よりも2WD車のほうが燃費もいいので経済的です。
普通のスキー場ではなく手付かずの山野を滑るバックカントリーを楽しむ人は、冬季の登山道口までは除雪が行き届いていない道路も多いでしょうから、4WD車は非常に有効です。
ただこの場合でも、悪路走破性と普段使いのときの燃費を天秤に掛けて、どちらが経済的なのかを考慮する必要があります。
年に数度しかウィンタースポーツに行かないのに、オールシーズンを4WDを使うことに対して自分や家計がどこまで許容できるのか?って話です。
どうしてもこの4WD車に乗りたい!という想いが全てに優先するのであれば、それはそれでいいと思います。この場合は趣味優先ですね。
まとめ
北海道で販売される新車の実に70%が4WD車なのだそうです。
確かに冬の北海道は本州よりも気温が数段低く、雪もサラサラで固まりづらい雪が多いですから4WD車が売れる理由もわかります。
しかし関東地方からアクセスできるスキー場は4WD車でないとアクセス出来ないスキー場はそう多くありませんから、ウインタースポーツが趣味だとしても必ずしも4WD車でないといけないということはありません。
雪国に出かける年間の回数と家庭での車の使い方などを総合的に判断して、経済的に無駄のない車種を選ぶようにしましょう。
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