※当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

絶版車 ホンダ ドリーム CB400 Fourの408cc免許問題って何が問題なの?

この記事は約8分で読めます。

日本は世界でも希な「免許区分が細かい国」です。

二輪車に限っても

・原付免許(~50cc)
・小型自動二輪免許(~125cc)
・普通自動二輪免許(~400cc)
・大型自動二輪免許(400cc超)

と4区分にも分かれています。

なぜこんなにも免許区分が細分化されたかと言うと、いわゆる団塊の世代の方々がオートバイで暴れまくったから。

当時、”カミナリ族”対策として、免許区分を細分化することで大きい排気量のバイクに必要な免許ほど取得難易度が上がり、高性能な大排気量車に簡単に乗れないようにした、という背景があります。

今回は、免許制度が変貌する過渡期の中で出てきた「408cc問題」について解説したいと思います。

408cc免許問題とは?

1974年までは二輪免許は2種類しか無かった

1974年まで、自動二輪免許は2種類しかありませんでした。

・自動二輪(排気量無制限)
・原付(~50cc)

なので、二輪メーカーは排気量区分についてはあまり細かく考えずに開発していました。

旧免許制度の中で生まれた、ドリーム CB400 Four(初代)

そんな旧免許制度の中でリリースされたのが、ドリーム CB400 Fourで、排気量が408ccだったのです。

当時の免許区分では、400ccとかキッチリした排気量に収める必要がなかったこともあり、CB750 Fourのスケールダウン版として開発されて408ccでリリースされました。

現代でもKawasaki Z900RSなどは実排気量が945ccで、日本の免許制度では400ccを超える排気量はすべて大型自動二輪車扱いなので、細かい排気量区分を気にする必要がないからです。

当時もそんな感じだったのでしょうね。

社会情勢の変化で、二輪免許が3種類に細分化

その後、社会情勢の変化によって1975年(昭和50年)に免許区分が細分化されます。

・自動二輪(排気量制限無し)
・自動二輪(中型限定:~400cc)
・自動二輪(小型限定:~125cc)
・原付(~50cc)

そうなると、408ccのCB400 Fourは中型限定自動二輪免許(中型免許)で乗れなくなってしまう、という問題が顕在化してきたのです。

これが「408cc問題」です。

しかし当時の免許制度は、あくまでも「自動二輪免許」という1種類の免許で、免許条件として

「自動二輪は中型に限る」
「自動二輪は小型に限る」

という記載によって、運転できる排気量を制限していました。

そのため、当時は中型免許で大型二輪を運転しても、免許条件違反(2点+反則金)に問われるだけで、無免許運転にはなりませんでした。

「眼鏡等」の条件が付いている人が、眼鏡無しで運転したときと同じ違反です。

中型免許でも乗れる 398cc版 ドリーム CB400 Four-Iが登場

その後、398cc版のCB400 Four-IIが投入されて免許問題はクリアするものの、わずか1年で販売終了となってしまいます。

その理由は4気筒DOHCというコスト高な構造でした。

当時は4ストロークよりも構造が簡単で価格も安く、しかも排気量は4ストの半分で同じ出力を出せる2ストローク車が多かったので、ライバルの2ストローク車に対抗しづらい、という営業的な問題もありました。

当時の2スト 250ccは大体30~35ps程度の出力がありましたから、コスパ悪かったわけです。

本当に408cc版CB400 Fourに普通二輪免許で乗ると無免許運転なのか?

本当に408cc版CB400 Fourに普通二輪免許で乗ると無免許運転なのか?

法的根拠から考察してみたいと思います。

運転できる車両と免許の関係

まず、免許区分によって運転できる車両は、道路交通法 第85条で規定されています。

道路交通法
(第一種免許)
第八十五条 次の表の上欄に掲げる自動車等を運転しようとする者は、当該自動車等の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる第一種免許を受けなければならない。

自動車等の種類
第一種免許の種類
大型自動車
大型免許
中型自動車
中型免許
準中型自動車
準中型免許
普通自動車
普通免許
大型特殊自動車
大型特殊免許
大型自動二輪車
大型二輪免許
普通自動二輪車
普通二輪免許
小型特殊自動車
小型特殊免許
原動機付自転車
原付免許

引用:https://elaws.e-gov.go.jp/

「普通自動二輪車」は何ccなのか知りたいのですが、これだとわかりませんね。

では「自動車等の種類」とはどこで規定されるのかと言うと、道路交通法施行規則で規定されています。

道路交通法施行規則
(自動車の種類)
第二条 法第三条に規定する自動車の区分の基準となる車体の大きさ及び構造並びに原動機の大きさ(以下この条において「車体の大きさ等」という。)は、次の表に定めるとおりとする。

自動車の種類車体の大きさ等
(略)
(略)
大型自動二輪車
総排気量が〇・四〇〇リットルを超え、又は定格出力が二〇・〇〇キロワットを超える原動機を有する二輪の自動車(側車付きのものを含む。)で、大型特殊自動車及び小型特殊自動車以外のもの
普通自動二輪車
二輪の自動車(側車付きのものを含む。)で、大型特殊自動車、大型自動二輪車及び小型特殊自動車以外のもの
小型特殊自動車
特殊自動車で、車体の大きさが下欄に該当するもののうち、一五キロメートル毎時を超える速度を出すことができない構造のもの

引用:https://elaws.e-gov.go.jp/

「普通自動二輪車」とは125ccを超え、400cc以下、と定義されているのかと思っていたら、大型特殊自動車、大型自動二輪車、小型特殊自動車以外のもの、なんですね。

「大型自動二輪車」の定義が「総排気量が〇・四〇〇リットルを超え、又は定格出力が二〇・〇〇キロワットを超える原動機を有する二輪の自動車(側車付きのものを含む。)で、大型特殊自動車及び小型特殊自動車以外のもの」と規定されています。

無免許運転と主張する根拠

ドリーム CB400 Fourは排気量が408ccで、道路運送車両法の規定である排気量0.4リットルを超える、というのが普通自動二輪免許で運転できないとする根拠です。

確かにそうですね。

無免許運転にはならないと主張する根拠

一方では「無免許運転にならない」と主張する意見もあります。

その根拠は自動車検査証、いわゆる車検証です。

車検証には「排気量」を記載する欄があり、新規検査時に排気量が記載されるのですが、408ccの場合は車検証に記載される排気量は小数点以下第3位を切り捨てて「0.40リットル」と表記されます。

車検証の記載内容は、陸運局を統括する(独)自動車総合技術機構事務規定で定められています。

5-3-13 総排気量又は定格出力
総排気量又は定格出力は、次によるものとする。
① 総排気量は、単位を ℓ とし、小数第 2 位(小数第 3 位切り捨て)まで通知するものとする。
ただし、二輪自動車及び側車付二輪自動車でその総排気量が 0.251ℓ から 0.259ℓ までのもの及び二輪自動車及び側車付二輪自動車以外の自動車で総排気量が 0.661ℓ から 0.669ℓ までのものにあっては、それぞれ 0.26ℓ 及び 0.67ℓ とする。
この場合において、総排気量を算出する必要があるときは、円周率を 3.14 とし、内径及び行程については、単位を mm とし、小数第 1 位(小数第 2 位切り捨て)までの値とする。
② 定格出力は、単位を kW とし、小数第 2 位(小数第 3 位切り捨て)まで通知するものとする。ただし、小数第 2 位が不明なものにあっては、小数第 2 位に「0」を通知する。
引用:https://www.naltec.go.jp/publication/regulation/fkoifn0000000ljx-att/fkoifn0000000m3a.pdf

車検証は公文書であり、その公文書で「排気量:0.4リットル」としているので普通自動二輪免許で運転できる、という主張です。

「エンジンブロックに”408cc”と記載されているから400ccを超えているだろ!」

という反論もありますが、エンジンブロックの記載内容は公的に証明されている訳ではないので、それを根拠に道交法違反を問うのは厳しいように思います。

結論:無免許運転とまでは言えないのでは

判例が無いので断定できませんが、裁判で車検証の記載排気量を主張されれば、無免許違反を押し通すのは論理的にかなり厳しいように思います。

そもそも、交通取締りにあたる警察官も、こういうった微妙なケースは知らない人のほうが多いでしょう。

Yahoo!知恵袋に「警察署に確認してみました。A警察署:取り締まらない、B警察署:取り締まらない、C警察署:取り締まる、とのこと」との回答がありました。

わざわざ警察署に電話したのもスゴいですが、電話口に出た交通課の担当者の判断で回答しているので、警察署によって判断が分かれていますね。

このように、警察官ですら判断が分かれる事案ですから、もし408cc CB400 Fourで無免許運転で検挙されても、公文書である車検証に「0.4Lと記載されているので、普通自動二輪免許で運転できる車両である」と主張すれば、不起訴になるのではないかと思います。

仮に検察官が起訴して正式裁判になったとしても、裁判で同じ主張すれば、検察側はかなり苦しいのではないでしょうか。

ということで、誰か判例を作るために正式裁判まで頑張ってくれる勇者はいないかな、と思うこの頃です。

本記事の内容は管理人独自の見解であり、普通自動二輪免許でドリーム CB400 Four(408cc)を運転することの合法性を担保するものではありません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました