2017年6月に起きた東名高速でのあおり運転による死亡事件をきっかけに、全国でその被害実態が多く報告されるようになってきました。
そこで警察庁は「あおり運転」を新たに定義して道路交通法を改正し、罰則を設ける方針を固めました。
今までは、現行の刑法(暴行罪、強要罪)と道交法で定める「車間距離保持義務違反」を組み合わせて検挙していました。しかしそれでは、よほど悪質で無い限りは罰金+免停ぐらいにしかできなかったんですね。
最近はドライブレコーダーの普及も進み、ニュースなどであおり運転の動画を目にすることが多くなりました。
そうなると「いつか自分も(あおり運転に)巻き込まれるんじゃないか」と思ってしまうのは当然で、現に「あおり運転に遭遇したことがある」と答えた人は、運転者の3割以上にのぼるそうです。
僕もそうですが、恐らく車を運転する人は一度や二度は煽られた経験があるのではないでしょうか?
あおり運転罪(仮称)の概要
新設される「あおり運転罪(仮称)」はどのような法規制になるのでしょうか?
現在検討されている改正案は、
相手の通行を妨害する目的で一定の違反を行い、交通の危険を生じさせる行為
を「あおり運転」と定義しています。
「一定の違反」とは、通行を妨害する目的で社間距離を詰めたり、急ブレーキをかけたりするような危険を生じさせる行為のことを指しています。
高速道路上で他の車を停止させるような危険な行為は別途規定を設けて、一般道よりも罰則を重くする方向で検討しているとのこと。
そりゃそうですよね、高速道路では路肩に止めるだけでも追突の危険がありますから、怒りにまかせて走行帯に停止させるなんて危険極まり無い行為です。
そして罰則についてですが、現在は悪質なあおり運転行為に適用されている暴行罪や強要罪を参考に、これを上回る方向で検討しているとのこと。
少なくとも一回の摘発で免許取り消し、欠格期間1年以上となるようです。
現状の道交法では「あおり運転」を規制する法律がありませんから、刑法の暴行罪(2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金)や道交法の車間距離保持義務違反(3ヶ月以下の懲役)を適用するしかありませんでした。
悪質なあおり運転をする者には「危険性帯有者」として道交法103条の8項で免許停止処分することもありました。
この法改正が行われると、あおり運転は一発で免許取り消し、1年以上は免許再取得不可(違反点数15点以上)ですから、酒気帯び運転並みの罰則になります。
危険度から考えれば、あおり運転は飲酒運転と同等と見なしてもおかしくないぐらい危険ですから、このぐらいの罰則は当然ですね。
この法改正があおり運転の抑止力になることを願ってやみません。
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