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「書類チューン」は不正登録!バレれば罰金30万!?

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50ccの原付1種は、公道での制限速度は30km/hと定められているのはみなさんもご存じの通り。

でも交通量の多いバイパスや公道で30km規制を遵守して運転すると、車にバンバン追い越されてかなり危ないんですよね。

実際、片側1車線の道路で大型トラックに時速60km/hで追い越されるのは結構怖いです。

そこで、手っ取り早く原付1種の制限から逃れる方法として、ナンバー登録時の排気量を「52cc」などにして原付2種(黄色ナンバー)登録してしまう、という手口があるんですね。

車両自体は何も手を加えないので「書類チューン」なんて言われたりします。

書類チューンとは

原付バイクを新規に購入するとき、市町村役場に届け出る必要がありますが、その際に記入する排気量を原付2種の範囲である51~90cc以下で申請すると、原付2種の黄色ナンバー登録になります。

80ccとか90ccと書くと怪しまれるので、52ccとか55ccとか書くわけです。

無事申請が受理されると黄色ナンバーが交付されるので、公道を30km/h以上で走っていてもスピード違反をとがめられることはない、というカラクリです。

車やバイクの排気量って外部から測定することは不可能なので、登録時の申請内容を基に受理するしかない、っていうところがミソなんですね。

この手口、当然ですが違法です。

「確かに虚偽申請はダメだけど、誰も困らないのでは?税金だって多く入るんだし」

そう思う人もいますよね。

でもダメなんです。

地方税法違反に問われる

不正登録をすると、地方税法第463条の20(種別割に係る虚偽の申告等に関する罪)に基づいて罰せられます。

地方税法
(種別割に係る虚偽の申告等に関する罪)
第四百六十三条の二十
前条の規定により申告し、又は報告すべき事項について虚偽の申告又は報告をした者は、三十万円以下の罰金に処する
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産に関して前項の違反行為をした場合には、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、同項の刑を科する。

引用:https://elaws.e-gov.go.jp/

「本来の税額より多く払っているのだからいいだろう」ではないんですね。

「虚偽の申告または報告をした者は、三十万円以下の罰金に処する。」

なんですね。

実際に、この手口で原付1種を違法登録して摘発されたバイク屋から芋づる式に摘発されたケースもあります。

罰金30万って、アドレス125が新車で買えますね。

自賠責保険、任意保険が下りない可能性

不正登録車で事故を起こした場合、保険が下りない可能性があります。

自賠責保険が規定されている自動車損害賠償保障法を見てみましょう。

自動車損害賠償保障法
(告知義務違反による契約解除の効力)
第二十一条 保険法第二十八条第一項の規定により、保険会社が責任保険の契約を解除したときは、その解除は、保険契約者が解除の通知を受けた日から起算して七日の後に、その効力を生ずる。
2 前項の解除の効力が生ずる日前に保険事故(保険法第五条第一項に規定する保険事故をいう。次条第三項において同じ。)が発生した場合には、同法第三十一条第二項第一号の規定にかかわらず、保険会社は、損害をてん補する責任を負う。この場合において、保険会社が損害をてん補したときは、保険契約者に対し、そのてん補した金額の支払を請求することができる。

引用:https://elaws.e-gov.go.jp/

保険法
(告知義務違反による解除)
第二十八条 保険者は、保険契約者又は被保険者が、告知事項について、故意又は重大な過失により事実の告知をせず、又は不実の告知をしたときは、損害保険契約を解除することができる。

引用:https://elaws.e-gov.go.jp/

虚偽申請により原付1種と2種登録した場合、自賠責保険も原付2種として契約していることでしょう。

その場合、自賠責保険の契約も虚偽に基づいて申請しているので、保険会社がその虚偽の事実を知ったときは契約解除することができます。

しかし、実際に保険契約解除の効力が生じるのは、保険会社が告知してから7日後です。

ということは、事故が起きたときはまだ契約解除していないので、保険会社は損害を補填しなければなりません。

しかしその後に面白いことが書いてありますね。

2 前項の解除の効力が生ずる日前に保険事故(保険法第五条第一項に規定する保険事故をいう。次条第三項において同じ。)が発生した場合には、同法第三十一条第二項第一号の規定にかかわらず、保険会社は、損害をてん補する責任を負う。この場合において、保険会社が損害をてん補したときは、保険契約者に対し、そのてん補した金額の支払を請求することができる

つまり、後から虚偽申請による契約がわかった場合でも、保険会社は損害を補填する責任を負うものの、補填した金額を保険契約者に請求できる、としています。

虚偽申請による契約なので無効、としてしまうと事故被害者が救われないケースが多くなるので、一旦は保険会社に立て替えさせて、後で保険契約者に請求するようにしたのだと思います。

Yahoo知恵袋あたりには「違法改造や飲酒運転でも、車両保険や保険者の人身保障は下りないが被害者への賠償はされる」といった中途半端な回答がありますが、これを見て「例え虚偽申請による保険契約でも被害者への賠償は下りる」と早とちりするのは危険ですね。

原付1種の制約がイヤなら

原付1種の制約がイヤなら、方法は2つしかありません。

ボアアップキットを購入して正しくボア(排気量)アップするか、原付2種に買い替えるか、です。

でもボアアップキットを購入する人は、車両イジリが好きな趣味人なので、組み込んだら普通に登録申請して公道で走らせますよね。

書類チューンする人は別にメカ好きでもなく、単に30km/h規制や二段階右折という制約を回避したいだけなのでボアアップキットを購入するなんてことはやるはずもありません。

そうなると、一番手っ取り早いのは「原付2種に買い替える」です。

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問題の本質は原付1種の30km/h規制

僕は、違法登録問題の本質は、原付1種の30km/h規制にあると思います。

簡易な乗り物として、学科試験のみで許可されている原付は法定速度が30km/h上限に規制されていますが、40年以上も前から、

・他の交通との速度差が大きくて危険

と指摘されていました。

しかし、国や警察はその危険性について鑑みることがなく、ただひたすら規制を堅持する方向で今日に至っています。

原付1種の30km/h規制を撤廃し、少なくとも市街地では交通の流れに乗った運行が出来るように法改正すべきでしょう。

僕はそれだけで、書類チューンなんて不正登録はほぼ無くなると思います。

原付1種というカテゴリは、昨今の排ガス規制をクリアすることができないと言われており、遅かれ早かれ消滅する市場です。

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もちろんメーカーが投資すれば50ccでも新排ガス規制に対応することは可能ですが、50ccスクーター市場は日本にしかなく、出荷台数が見込めない市場に対して開発投資しても回収できないのが原付1種なのです。

そこで国は、125ccの出力を抑えた車種を原付免許で乗れるようにすることや、原付1種の免許範囲を小型二輪AT限定まで拡大する案などを検討し始めています。

この改正に合わせて、原付1種の30km/h規制を緩和する方向にできれば、原付の追い越し問題や不正登録問題も解消できると思うんですけどね。

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