先日、「男性でAT限定はあり?」という記事を見かけました。
その記事では、「男性でAT限定はあり?」というアンケートで「あり:46%」「なし:54%」と真っ二つに割れる結果でした。(集計期間1日、回答数1368票)
やはり根底には「男だったらMTだろ!」といった昭和的な価値観が根強いことが伺えます。
今回は普通免許を取得する場合、AT限定、MT(AT限定無し)のどちらを取得すべきか考えるときの判断材料についてお話します。
これから運転免許を取得する際の参考にしていただければ幸いです。
今の免許取得者はAT派?MT派?
平成26年度に全国の教習所で普通免許を取得した人の割合は
・MT車(AT限定なし):約44%
・AT車(AT限定あり):約56%
と、すでにAT限定免許を取得する人のほうが多くなっているんですね。
それもそのはず、1985年にMT車:AT車の割合が51:49だったのが、2011年には98.5:1.5と、実に98.5%がAT車なんです。
事実、街中で見かけるMT車と言えば趣味性の高いスポーツカーかバスぐらいです。
東京都に限って言えば、普通免許に対するAT限定免許取得者は67%に達していますから、およそ7割はAT限定免許なんですね。(警察庁の「都道府県別指定自動車教習所の合格者数」による)
AT限定はアリか?
アリかナシかで行ったら、僕は全然アリですね。
だって日本で走っている車の9割以上はAT車で、乗用車に限ればAT率はほぼ100%ですよ。
そんな状況でMT車に乗る機会がほとんど無いのにわざわざMT免許を取るのは意味がありません。
AT限定免許であれば、限定なし(MT)より数万円安いですから、少しでも安く普通免許を取得したい&将来MT車に乗る予定が無い人であれば、AT限定免許で全然OKです。
一応、現行販売されている国産の新車でもMT車の設定がある車種はありますが、それでも販売比率で言えば1.5%程度です。(今はもっと低いかも)
今やフェラーリやポルシェもAT車が主流ですから、ある意味時代の流れでしょうね。
ナシ派の意見
一方、「男がAT限定免許なんてナシ!」というナシ派の意見として、
・欧州では未だにMT車が主流。海外出張に行ってMT車に乗れないと恥ずかしい
・MT車のほうが燃費がいい
・MT免許があれば、現場で働くときに何かと有利(フォークリフトやユンボなど)
というのが挙げられます。
男だったらMT車を乗りこなして欲しい?
「男だったら複雑なMT車でも乗りこなしてほしい」というのは気持ちとしてはわからなくもないですが、そもそもAT車率が高いこの日本で、MT車に乗る機会がどれほどあるのでしょう?
例えば引っ越しで2tトラックをレンタルしたときに颯爽とMT車を運転できる、とかですかね?
でもMTで免許を取った後、何年もMT車を運転していなかったら久しぶりに運転するのは相当大変だと思います。だってMT車の運転経験は自動車教習所で乗った30時間程度ですからね。
今はセミATのトラックも多いのでMT車をレンタルしなくても済む場合が多いです。
欧州では未だにMT車が主流
確かにヨーロッパはMT車が未だに主流ですね。
欧州ではAT車はシフト操作の出来ない老人や身体障害者が乗るもの、といった偏見というか固定観念が強くてAT車が普及していません。
確かにレンタカーを見てもCクラス(コンパクトカー)はほとんどがMT車です。
でもですよ、年に何回ヨーロッパ行きます?
ビジネスマンで欧州方面にしょっちゅう行くのでMT車に乗れないと移動がままならない、という人はともかく、そうでない人がいつ行くかわからないヨーロッパのためにMT免許を取るのも変な話です。
MT車は燃費がいい
欧州ではこの「MT車は燃費がいい」という考えが根強く、このことが広くMT車が支持されている理由の一つになっています。
でもですよ、最近のATはかなり伝達効率が改善されて、燃費はMT車と遜色ありません。
上のリンクはデミオ1.5LのAT車とMT車を同条件で燃費比較した記事ですが、両者にはほとんど差がありません。
この結果からも「MT車は燃費がいい」というのはもう過去の話になりつつあります。
MT免許があれば現場で働くとき有利
これはそうでしょうね。
そういう方面での就職を考えているのであれば他人よりも有利な面をアピールするためにもMT免許を取ることには合理性があります。
というか取らなきゃダメでしょ、MT免許。(笑
僕が言いたいのは、MT車に乗る予定が無いしクラッチ操作やシフト操作が難しくてイヤだ、という人があえてMT免許を取る必要は無い、ということであって、MT車の存在自体を否定しているわけではありません。
不必要なスキルは無理に身につけなくていいと思います。
免許取るなら今後のカーライフに合わせて考える
とは行っても完全にMT免許を否定しているわけではありません。
今後のカーライフに合わせて免許を取得すればいいと思うのです。
車は単なる移動ツール、操縦の楽しさは求めない
今までAT限定を持ち上げてきましたが、僕は個人的にはMT車好きですよ。
MT車は車速に合わせて自分でシフトアップ/ダウンするので車を「操っている」感が半端ないです。
でも「車は単なる移動手段。できるだけ簡単に操作したい。」という人も少なくありません。車自体にはそれほど興味が無い人達ですね。
車に対する想いというか価値観は人それぞれなのでそういう考えもアリでしょう。
「車は単なるツールで、出来るだけ手をかけず免許を取得したい」という人はAT限定免許が向いています。
将来スポーツカーに乗ることもありませんし、もし途中で車の面白さに目覚めて「MT車に乗りたい!」と思えばAT限定を解除すればいいのですから。
大体費用は5~6万円、期間は3~5日程度です。
将来は自動二輪の免許も取りたい、もしくは近々取得するつもりだ
車やバイクに興味があって「まず手始めに普通免許から」という人は迷わずMT免許です。
というのも、こういう人は普通免許を取った後にいずれ自動二輪の免許も取得すると思うんですよね。
バイクの世界はスクーターを覗いてほぼ100%MT車ですから、普通免許をMT車で取得しておけばクラッチ操作やシフトチェンジの感覚を事前に身につけておくことができます。
車のクラッチは足でバイクのクラッチは手だから感覚が違うって思いますか?
足と手で微妙な感覚は違いますが、シフトアップ/ダウンするタイミングやクラッチ操作するタイミングは車もバイクもさほど変わりません。
MT車の経験が全く無い人が自動二輪免許を取るときに一番苦労するのがクラッチ操作/シフト操作だと思います。
ただでさえ不安定な二輪車なのに、アクセルワーク、クラッチワーク、シフトチェンジを同時にやって車速をコントロールしながら課題走行をしなければならないのですから、未経験者にとってはクラッチ操作は鬼門です。
二輪車で教習時間をオーバーする原因の多くはこのクラッチワークとシフトチェンジのコツを掴むのに多くの時間を使ってしまうからなんですね。
それが普通免許をMT車で取得していれば、クラッチの仕組みと操作感覚がわかっていますから、さほど苦労せずにバイクのクラッチワーク/シフトチェンジのコツを掴めると思います。
仕事で欧州方面への出張が多い
欧州でどのくらい移動するかによりますが、仕事上どうしてもレンタカーを使う必要があるという人はMT免許を取得したほうがいいでしょうね。
欧州もAT化の流れで新車販売台数に占めるAT車の割合は30%近くになってきてはいるものの、未だMT車人気が根強いですからレンタカーでAT車を自由に選べるようになるにはまだ時間がかかりそうです。
ちなみに欧州のレンタカーはラグジュアリーカークラスであればAT車の設定もあるのでAT車のみで過ごすことは出来なくもないですが、地方空港の営業所に行くとAT車の在庫自体無かったりします。
まとめ
少なくとも「男なのにAT限定なんて」という意見は、ずいぶん時代遅れな意見だと思いますね。
今は新車販売台数のうちMT車の割合は1%台ですし、車を移動手段としてしか考えて無い人にしてみればわざわざその1%に乗るためにMT免許を取得するのは、無駄以外の何者でもないですからね。
それは普通免許取得者の内、AT限定の取得者が半数を超えている(約56%)ことからも伺えます。東京都ではAT限定は約7割ですから。
一方で、ドライブ自体に魅力を感じている人や自分で運転することが好きな人、またゆくゆくはバイクにも乗りたいと考えている人はMT免許の取得がオススメです。
特に普通免許をMT車で取得すると、その後自動二輪免許を取得するときにクラッチワーク/シフトチェンジを一から習得する必要がありませんので、規定時間内に教習を終えられる可能性が格段に高まります。
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