オールシーズンタイヤの記事を書くと、必ずと言って良いほど「雪国ではスタッドレスじゃないと絶対ダメ!スタッドレス以外あり得ない」という人が絡んできます。
別にスタッドレスよりオールシーズンタイヤのほうが優れている、なんて一言も言ってないんですけどね。
年に数日、しかも数センチの降雪しかない地域の人向けにオススメしているわけで、オールシーズンタイヤが万能!と言ってるわけではありません。
ちなみに僕は北国の特別豪雪地帯出身で、大雪・猛吹雪のときでも車で通勤・通学していました。なので雪道の大変さはよ~く熟知しているつもりです。
スタッドレスとオールシーズン、メリット・デメリットは?
スタッドレスタイヤとオールシーズンタイヤの論争ですが、どちらがいいとは一概に言えません。
今のタイヤの技術では、
・凍結路に強い
・サマータイヤ並みの耐摩耗性
これら3つの条件を全て満たすタイヤを実現することは困難です。
だから冬期以外をカバーするサマータイヤと、降雪時期をカバーするスタッドレスタイヤがあるわけです。
サマータイヤとスタッドレスタイヤにはそれぞれメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット | |
スタッドレスタイヤ | 圧雪路・凍結路に強い | 乾燥路では摩耗が多い |
サマータイヤ | 乾燥・雨天路での摩耗に強い | 圧雪・凍結路に弱い |
ま、当然と言えば当然ですね。
圧雪路・凍結路でグリップ性能を出すにはタイヤのゴム(コンパウンド)を柔らかくする必要がありますが、柔らかいゴムは無雪路では摩耗しやすいという相反する特性があります。
逆に耐摩耗性を上げるためにゴムを固くすれば、雪上でのグリップ性能が悪くなります。
オールシーズンタイヤはその相反する特性をいいとこ取りしたタイヤなんですね。
雪道での性能をスタッドレスタイヤほど求めないかわりに、耐摩耗性をサマータイヤ並みに向上させて、夏冬のタイヤ交換の手間を省くことを目的とした製品なわけです。
オールシーズンタイヤの市場投入が増えている理由とは?
近年、タイヤメーカー各社から相次いでオールシーズンタイヤが投入されています。
これは、首都圏などの非降雪地帯でマンションなどの集合住宅に住むユーザは、スタッドレスタイヤなどの交換用タイヤを置くスペースを確保しづらいという事情があります。
駐車場からタイヤ4本を自室のベランダまで運ぶのは結構な重労働で、よほどウインタースポーツが好きな人でないと出来ないのではないでしょうか。
また、日本はスタッドレスタイヤが伝統的に強い市場ですが、欧州はオールシーズンタイヤのほうが好まれる傾向があります。そのため、日本のタイヤメーカーは欧州向けにオールシーズンタイヤを開発・投入しているため、日本市場向けに新たに開発する必要が無いという背景もあります。
年に数回しか降雪が無い地域の人とか、マンション住まいで年に数回スキー場に行くというような人は、スタッドレスタイヤを用意するよりもオールシーズンタイヤでカバーできるのは嬉しいのではないでしょうか。
スタッドレスタイヤでも走られない時がある?
意外と知られていないのですが、降雪が20cmもあると、いくらスタッドレスタイヤを履いていたとしてもまともに走ることができません。
「え?雪国では降雪20cmなんて普通だけど…」と思う人もいるかと思いますが、実は雪国は除雪車が頻繁に走っています。
降雪が20cm, 30cmあったとしても、除雪車が通過した後の道路は圧雪路で積雪は0cmです。
確かにアスファルトの上には雪が積もっていますよ。でもそれは圧雪された雪なので、タイヤから見れば積雪0cmなんです。
自動車の走行で問題なのは「圧雪されていない積雪高」です。
この「圧雪されていない積雪高」が、自動車の最低地上高を超えていると、いくらスタッドレスを履いていようがチェーンを巻いていようが車はスタックします。
首都圏には除雪車がない
雪国は降雪予報が出ると除雪車が待機して、幹線道路などは瞬く間に除雪される体制が整っています。
しかし首都圏には除雪車がありません。
檜原村などの奥多摩地方は自治体予算で除雪費用を計上していますが、23区や東京都下の市区町村は除雪車を持っていません。
年に数日のために除雪車を整備して除雪人員を確保するのは費用対効果が悪すぎます。
そのため、年に数回ある降雪はある意味、雪国より条件が悪いのです。
2014年に首都圏で降雪があったときは、道路上に20~30cm積雪がありました。その後、雪の重みで若干沈んだものの、それでも道路上には15~20cm程度の積雪が1週間近く残り続けました。
こんな風景は地元にいたときには見たことがありません。
それと、東京は除雪車が来ないので、道路には変な雪の残り方が数週間続いたのも新たな驚きでした。
地元では降雪があればすぐに除雪車が来るので、道路上の雪は結構削り取られるんですね。
降雪が凄くて除雪が追いつかないと、圧雪された雪が10数センチの厚さになることもありますが、雪が止んでも道路上の圧雪された雪が溶けて、いわゆる「わだち」ができるので、除雪車がその「わだち」を削りに何度も除雪に来ます。
その結果、道路上の雪は均等に溶けていくわけです。
当時はなんとも思わなかったのですが、東京での雪の残り方を見て「なるほど」と思いました。
ネットで買えるタイヤショップ
最近はカー用品店よりも、ネットで注文・自宅近くの取付店でタイヤ交換がメチャクチャ便利です。
現在履いているタイヤの横に書いてあるサイズをメモれば、スマホで簡単に注文出来ちゃいます。
オススメはオールシーズンタイヤ
タイヤの話に戻すと、首都圏で年に数回しか降雪に見舞われないのであれば、「雪の日は車で出かけない」と決めてしまうのが一番安全です。
でも、両親や祖父母を病院に送迎しなければならないとか、少しの雪であればなんとか車を使いたい、という人も少なくないと思います。
そういう人に向いているタイヤがオールシーズンタイヤです。
間違っても、積雪が最低地上高以上なのに「買ったばっかりのスタッドレス履いてるから大丈夫だぜ!!」と車を出してはいけません。
自宅から離れたところでスタックすると、ロードサービスも来てくれないので、どうにもならなくなります。
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