バイクに乗り始めたときからずーーーーーーっと不思議に思っていたことがあります。
それは、
です。
不思議に思っていたというよりは不満。おそらくオートバイ乗りはみんなそうではないでしょうか?
しかし、ここにきてようやく二輪車の高速料金の値下げの議論が進んできています。
二輪の高速料金が軽自動車の5/8に?
現在の高速道路料金は5段階に設定されています。
普通車を100%とすると、
・大型車:165%
・中型車:120%
・普通車:100%
・軽自動車・二輪車:80%
という比率になっています。
この区分に二輪車を新たに追加して、高速料金を軽自動車の5/8、つまり普通車の半額にする案が議論されています。
二輪車と軽自動車が同じ料金なのはおかしい
二輪車は自動車に比べて重量が軽く、道路の専有面積も少ないのに軽自動車と同じ料金というのは普通に考えても納得し辛いです。
こういった不満は30年以上も前からありましたが、当時の建設省(現在の国交省)、道路公団(現在のNEXCO)は
・高速道路を使うことによる受益は車も二輪も同じ
という理屈で二輪車の料金を引き下げることはありませんでした。
確かに安全面で言えば車間距離は車と同じですが、二輪車が複数台走るときは千鳥走行となるので車間距離は車より狭く取れますし、積載性や定員数が違うので「高速道路を使うことによる受益は車も二輪も同じ」は当てはまらないでしょう。
・・・なんて話は昔から言われていたんですけどね。
当時の道路公団は赤字垂れ流しで批判も大きかったですから、わざわざ二輪車の料金を引き下げに応じることはしたくなかったのでしょう。80年代はバイクブームでしたから、高くて不満はありましたが、我慢して高速を使っていました。
二輪車の高速料金が軽自動車の5/8に?
オートバイ議員連盟による二輪車問題対策プロジェクトチームの発足
自民党オートバイ議員連盟が中心となり、二輪車問題対策プロジェクトチームが2016年に発足しました。
この「オートバイ議員連盟」とは二輪車に関する諸問題に対応するための議員連盟で、実は各党にあります。
・公明党:オートバイ議員懇話会
・維新の会:オートバイ議員連盟
概ね与党寄りの党ですね。
この背景には、高速料金の問題のみならず、二輪車の駐車問題、二輪免許(~125cc)問題や、二輪車人口の減少なども挙げられています。
例えば、一時期、警察による二輪車の違法駐車取締りが頻繁に行われていた時期がありました。特に原付。
確かに駐車禁止区域に止めているバイクが悪いのは事実ですが、それ以前に「バイクの駐輪場が全く整備されていない」ことが問題でもありました。
機動力が高く利便性の良い二輪車なのに、駐輪場が整備されていなくて使いづらくなり、それによって二輪車人口が減少するのは本末転倒でもあります。
警察は二輪車の駐輪場整備なんてやりませんから、日本自動車工業会や日本二輪車協会、全国二輪車用品連合会などの業界団体が尽力して政治を動かしたわけです。
つまり、二輪車の環境を整備して多くのライダーが快適になることは、二輪人口の減少に歯止めを掛けることになり、ひいては二輪全体の市場を広げることにつながることになります。
二輪車の高速料金が軽自動車の5/8に
そのプロジェクトチームで議論されているのが、
です。
高速道路の料金は普通車を100とすると軽自動車は80に設定されています。
ということは、
となり、二輪車の料金は普通車の半額になります。
この「普通車の半額」はかなり納得感がありますよね。
高速道路の二輪車比率
高速道路を通過する二輪車の割合は、全トラフィックに対してわずか0.38%で、料金収入は約150億円とのこと。
これを軽自動車の5/8にすると、
となり、二輪車の料金収入は約56億円減となります。
とは言っても高速道路3社の料金収入は全体で2.2兆円/年以上あるので、その内の56億円は微々たるものでしょう。
その減収よりも、むしろこれを行うことで二輪人口が増えれば、二輪メーカー/二輪用品メーカー/観光地などの活性化が図れるのですから、副次的な効果が期待できますよね。
システム改修にかかる費用
問題はシステム改修にかかる費用です。
一説には二輪車の料金を別料金区分にするにはシステム改修に200億円かかるという試算があります。
ん?今でもETCでは二輪車と軽自動車は区別しているので200億もかかるとは思えませんが、料金所の料金表の作りかえ等も含まれているんでしょうか?
ツーリングプランと同様ならシステム改修はほぼ不要?
しかし、現在のツーリングプランと同様の仕組みを使えばシステム改修費用はほぼ0で済むのだそうです。
ツーリングプランとは、2017年に販売が開始された二輪車向けの割引プランで、事前に申し込みすることで対象となるエリアの高速道路が乗り降りし放題となるプランのこと。
行き先が対象エリアに入っていれば、日帰りの単純往復でもそこそこお得なので最近良く使っています。
ツーリングプランの仕組みを使うと改修費用がほぼかからない、というのは、想像するに、一旦は現行の軽自動車料金で計上されるものの、事前申込みのあった二輪車については請求時に5/8を掛けて割り引きする、というスキームなのではないかと推測します。
事前申込み無しでも新二輪車料金が適用されるのが理想ですが、事前申込みで新二輪料金を適用、でも大きな一歩でしょう。
今後の流れ
現在は自民党二輪問題対策プロジェクトチームが中心となって議論を進めていますが、国交省の高速道路課は、現在のツーリングプランから得られるデータや先生方のご指導を頂いて課題をどうクリアしていくのか議論したい、としています。
今までの議論の流れを見ると、「まずはシステム改修にお金をかけずにツーリングプランの仕組みを使って新二輪料金を適用する」というアプローチが現実的ではないでしょうか。
自民党二輪問題対策PTは、今までにも高速道路の二人乗り解禁やETC車載器の搭載を促進するために助成金を創設するなど、二輪環境の整備に力を入れてきたPTなので、二輪車の高速料金引き下げには是非とも期待したいところです。
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