現在バイクに乗っている人は、自動車よりもバイクのほうが死亡率が高いことは承知の上で乗っていると思います。
「バイクは車よりも危ない乗り物だから止めたほうがいいよ」なんて忠告を素直に聞けるなら、今頃バイクなんか乗ってませんよね。
みんな、バイクの爽快感と危険性を天秤にかけて「バイクに乗る」ということを選んでいるわけです。
そうは言っても、バイクの実際の危険性はどのくらいなのでしょうか?
今回は統計資料からバイクの危険性を読み取ってみようとおもいます。
統計資料から読んでみる
四輪と二輪はどちらが危ない?
まず、交通事故死亡者の内、二輪車の死亡者はどのくらいなのでしょうか?
以下は警視庁の令和元年度の統計資料です。
東京都内では交通事故死亡者数に占める二輪車の割合は21.1%(133人中28人)で、四輪車よりも多いです。
一方、全国平均で見ると二輪車の割合は15.9%(3215人中510人)で、全国平均では四輪車のほうが死亡者数が多いですね。
この違いは、東京都のほうが自動車保有コストの兼ね合いから通勤や移動に二輪車を使う割合が多いためと思われます。
一方、地方では自動車での通勤が一般的なため、相対的に四輪車による死亡数が多くなるのでしょう。
なんかこれだけ見ると、全国平均では四輪車のほうが危ないように見えますね(笑)
二輪乗車中の死亡事故
次に、二輪車の死亡事故がどんなときに起きているのかを見てみます。
東京都では二輪死亡事故は、出勤時が21.4%、28.6%が退勤時に起きています。全国平均もほぼ同じ比率。
なんと死亡事故の半分は出退勤時に起きていることがわかります。
ちなみにツーリングの死亡率は14~15%なのでそんなに高くありませんが、通勤は毎日ですがツーリングは毎日いきませんよね。そう考えるとツーリングの死亡率はそんなに低くありません。
致命傷となった部位は?
二輪の死亡事故で致命となった部位についても統計がありました。
致命傷となった部位は、警視庁の集計では頭部が35.7%、胸部が32.1%、腹部が21.4%となっています。
都内の過去5年平均で見ると(右側グラフ)、死亡原因の半分近くが頭部(48.2%)が占めています。
ん?バイクに乗る人はほとんどヘルメットを被っていますよね?ヘルメットを被っているのになぜ死亡原因の1位が頭部なのでしょうか?
警視庁の当該ページのコメントを引用します。
事故により最悪の結果を招く原因となる損傷主部位は、頭部・胸部・腹部が大部分を占めています。
令和元年中に発生した二輪車乗車中の死者のうち、約40パーセントで事故時にヘルメットが脱落していました。
事故の際に被害を軽減させるには・ヘルメットのあごひもをしっかり締める
・胸部プロテクターを着用する
の2点がとても大切です。
引用:https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotsu/jikoboshi/nirinsha/2rin_jiko.html
「死亡事故の40%でヘルメットが脱落していた」というのが気になります。
普通、フルフェイスやオープンフェイスのヘルメットであご紐を普通に締めていれば、ヘルメットが脱げることはまずありません。
むしろレーシングライダーなどは事故時にヘルメットを脱がしやすいようにヘルメットリムーバーを装着するぐらいですから、相当派手に転倒してもヘルメットが脱げることはまずあり得ないです。
ということを考えると、「40%もヘルメットが脱落していた」というのは、半キャップ型のヘルメットをあご紐を締めずに乗っていたのではないでしょうか?
原付で所構わず追い越し・すり抜けする人達に半キャップヘルメットを浅く被ってる人が多いですよね。
そう考えると、「死亡事故の40%でヘルメットが脱落していた」という意味もわかってきます。
死神が無作為に選んでいる訳ではない
事故統計などを見ると、事故率は一律に降りかかってくると考えてしまいがちですが、上記で説明したような分析をすると、事故に遭いやすい人とそうでない人が見えてきます。
警視庁のデータからは
といった事が見て取れますね。あくまでも個人的な推測ですが。
つまり何を言いたいかと言うと、死神は事故を起こす人を無作為に選んでいるわけではない、ということ。
通勤時に事故が多いということは、職場に急ぐあまり無理な運転をしてしまう人が多いのでしょうね。
ヘルメットもしっかりとアゴ紐を締めていれば外れることはまず無いのに、頭に乗せるだけの人や、ユルユルのまま被っている人も多いです。
つまり、きちんとヘルメットを被って、かつ余裕をもって運転すれば事故を遠ざけることができるのです。
通勤でバイクに乗る場合も、遅刻ギリギリに着くように行くのではなく、10分早く到着するように自宅を出る時間を早めるなどすれば、劇的に事故率を下げることができるのです。
もちろん、いくら自分が気をつけていても避けられない「もらい事故」に遭遇する可能性はゼロではありません。
そういう不安には手厚い保険に入るしかありません。
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