環境意識の高まりから、世界的に電気自動車へのシフトが急速に進んでいます。
ホンダは2040年までに世界で販売する新車の全てを電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)にする、と宣言するなど、世の中大きくBEV(バッテリー駆動式電気自動車)にシフトしています。
街中を見ても、電気自動車を見かけることは珍しくなく、かなり普及してきた感があります。
私の回りでもEVを購入した人が増えていますが、気になるのはその方々が口を揃えて同じ不満を言うのです。
今回は「そんなはずじゃなかった、電気自動車を購入して後悔したこと」を挙げてみたいと思います。
そんなはずじゃなかった!EVを購入して後悔したこと
1.タイヤの減りが早い!
これ、みんな口を揃えていいますね。
EV車のタイヤの減りが早いのには2つ理由があります。
モーターのパワーが大きい
タイヤの減りが早い大きな理由は、モーターのパワー(トルク)が大きいこと。
実はガソリン車よりも電気モーターのほうが回転トルクが大きいので、加速時にタイヤにかかる負荷が大きいのです。
EVに乗ってみるとわかりますが、アクセルを踏み込んだときの加速感はガソリン車を上回ります。
いわば蹴り出しが速いので、その分タイヤの減りが早いんですね。
ガソリン車でもスポーツカーだと駆動輪の減りが早いですから、加速感とタイヤの減りは比例します。
車種や乗り方にもよりますが、重い車重+大トルクで、15,000kmぐらい、早い人だと1万km程度でタイヤ交換をしなければならなかった、という人もいます。
一般的なガソリン車のファミリーカーだとタイヤ交換は3~5年、走行距離約3万kmぐらいからですから、1万km前後での交換は想定外の出費でしょう。
バッテリーが重い
タイヤの摩耗に一役買っているもう一つの要因は、バッテリーが重いこと。
バッテリーを小さくすればいいのですが、そうすると航続距離が出ないので遠出するときに困ります。
小型バッテリー搭載車と言えば、最近、郵便局の配送用でよく見かける三菱のミニキャブ・ミーブバンは、16kWhという小型のバッテリーで満充電での航続距離が150km(JC08モード)という、近距離配送に特化した車両です。
日本郵便では1日の配送距離を50km程度と想定していますから、この程度のバッテリー容量で十分でしょう。
しかし一般家庭で使うとなると、近所の買い物だけでなく週末の遠出にも使いたいですよね。
そうなるとバッテリーの容量を大きくせざるを得ず、バッテリーサイズを大きくする→車重増となるわけです。
2.立体駐車場が使えないときがある
これはマンション住まいの人のケースですが、3段式の機械式立体駐車場の重量制限が2,000kg/台で、車体サイズは問題無かったものの、車重でアウトだったようです。
小型EV車であれば2,000kg以下の車両が多いですが、欧州系のメーカーだと航続距離重視で大容量バッテリーを搭載しているため、SUV車だと2,500kgを超えるものも多いです。
自宅の駐車場がアスファルトでも、駐車を繰り返す内に設置部分が凹んでしまい、アスファルトを剥がしてコンクリートで打ち直した、という人もいました。
バッテリーの問題は、リチウムイオン電池を使う限りエネルギー:重量比は大きく変わらないため、今後も重量増は避けられないでしょう。
3.思ったほどバッテリーが持たない
購入前にカタログ等で航続距離を確認してはいるものの、実際に使ってみると意外とバッテリーがもたない、という話もよく聞きます。
これはスマホでも同じことが言えるのですが、バッテリー消費率は「使い方」と「気温」に大きく左右されます。
加速を多用すればバッテリー消費が大きいのは感覚的に理解できますが、気温による影響もかなり大きいのです。
バッテリーは気温が低いと内部抵抗が大きくなって見かけ上、バッテリー容量が少なくなります。
そのため、多くのEV車にはバッテリーヒーターが装備されており、バッテリーを温めるための電力消費も馬鹿にならないのです。(自分自身を温めるのに自身のエネルギーを使う)
そのため、冬期は特に航続距離が少なくなります。
みなさん、EV車を買う前にバッテリー消費についてはある程度、見聞きしてはいるものの、実際に使ってみると「思ったより距離が出ない」と言いますね。
4.出先で充電ポートが混みすぎ
これは高速道路で顕著ですね。
サービスエリア・パーキングエリアの充電ポート設置が進んでいるものの、EV車の増加に追いついていない感じです。
初期型リーフからのEVユーザの方は、昔はサービスエリアの充電ポートなんて、いつ行っても空いてたけど、最近は並ばないと充電できない、とぼやくことしきり。
確かにSA・PAで充電ポートを見ると、いつもEVが充電していますね。
高速道路の充電ポートは急速充電で30分限定ですが、それでも充電待ちの台数が多いと、その後の行動予定に大きく影響するので、やきもきしてしまいますよね。
充電ポートの整備が進んでいけば混雑は解消されていくと思いますが、現在、EV普及が一時的に減速傾向にあるため、充電ポートの普及スピードの鈍化が懸念されます。
中長期的にはEV普及の流れ
EVをディスった感じになってしまいましたが、中長期的にはガソリン車がEVに向かう流れは変わらないと思います。しかし、ホンダが宣言した2040年までにガソリン車全廃、は少々勇み足だったように思います。
EVと言えども発電するには化石燃料を燃やして発電しているわけですから、CO2排出ゼロにはなりません。
CO2排出をゼロにするには、自然エネルギーの安定的な供給か原子力発電の発電比率を上げるしかありませんが、太陽光・風力・地熱発電は安定した出力が見込めませんし、原発は反対派の声が大きく再稼働に至っていない発電所も多いです。
そういう意味では、当面の間はガソリンと電気のハイブリッドでCO2削減を行いながらEVの開発も並行してすすめる、というトヨタのアプローチが現時点では最適解なんでしょうね。
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