いくら気をつけて運転していても「もらい事故」だけは防げません。
「もらい事故」とは、自分に過失が無く相手方に100%過失がある事故のことを言います。
例えば、信号で停止してたところに追突されたとか、青信号で直進していたのに信号無視の車に衝突された、といった事故ですね。
過失割合が相手が10で自分が0の、いわゆる「ジューゼロ」の事故。
きちんと法規走行していたとしても、相手の不注意に巻き込まれてしまう可能性をゼロにはできません。
この「もらい事故」に遭ったときに困るのが、相手保険会社との事後交渉です。
どんな点に困るのか、解説していきます。
もらい事故では自分の保険会社は何もしてくれない?
「もらい事故」は防げないのはわかるけど、相手の過失が100%なら相手の保険でカバーされるから自分の保険は関係ないのでは?
相手の過失が100%であれば、事故に対する損害は全て相手方が補償することになります。
多くの場合は相手方が加入している保険会社が対応することになりますが、その場合困るのが、相手方の保険会社と示談交渉するのは、事故に遭ったあなた自身であるということ。
当然ですが、相手の保険会社はあなたへの示談を誠心誠意対応するものの、実務的にはできるだけ安く抑えたいという意識が働くのは想像に難くありません。
保険会社の担当者は、毎日のように交通事故を扱っている事故処理のプロであるのに対し、こちらは一生に1度遭遇するかどうかの事故の「素人」ですから、この2者が示談交渉すればどちらが有利なのかは火を見るより明らかでしょう。
示談のサポートをあなたが加入している保険会社に依頼しても、あなた自身は過失割合が0ですから、保険会社の担当者は事故に対しては何もしてくれません。
示談交渉は法律事務なので、事故の当事者でない者が示談交渉することは非弁活動として弁護士法第72条で禁じられているので、担当者は「何もできない」のです。
第九章 法律事務の取扱いに関する取締り
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
引用:https://elaws.e-gov.go.jp/
一般的に、事故の示談交渉は
- 事故車両の原状回復費用(修理代)
- 修理で車が使えない期間の補償
- 事故による怪我、通院費用の補償
- 怪我による慰謝料
- 事故による車両価値減損分の補償
の金額交渉になりますが、示談交渉によって大きく変わるのが4と5ではないでしょうか。
被害者側としては感情も入ってくる部分ですので、個人で交渉するのは大変です。
もらい事故でもしっかりと示談交渉するために
もらい事故でもしっかりと示談交渉するには、任意保険の弁護士特約に加入しておくことです。
弁護士特約は自分が起こした事故だけでなく、もらい事故にも対応することが可能です。
弁護士であれば示談交渉を代理することができますから非弁行為にあたりませんし、保険会社が委託する弁護士は、交通事故の示談処理に長けているので、相手保険会社の担当者との示談交渉もスムーズにいきます。
またよくあるのが、弁護士特約を付帯していない自動車や自転車で事故に遭ったが、他の自動車保険で付帯していた弁護士特約が使えるというケースです。
自転車事故や歩行中の事故でも使える場合が多いので、家庭で加入している自動車・バイクなどの損害保険で重複しないように弁護士特約を付けておくと安心です。
もらい事故に遭わないようにするためには
もらい事故に100%遭わないようにすることは不可能ですが、もらい事故に備えることで事故対する不安を低く抑えることができます。
生命保険、医療保険、学資保険、自動車・バイクなどの損害保険など、多くの民間保険に加入されていると思いますが、掛け金が適切か、重複した補償が無いかなど、プロの目で見直すことをオススメします。
どこの生命保険がお得で補償が厚いのか、など常にウォッチしている人はそう多くありません。
私も一度契約してしまうと、余程のことがない限り保険を切替えるなんて面倒なことはしたくありません。
多くの場合、見直すことで保険料を削減することが可能です。
見直した結果、補償が今より厚くなって保険料が安くなるのであれば切替えるのではないでしょうか。
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