1/22は前日から降雪予想だったこともあって、企業のほうでも早めの帰宅を促したものの、帰宅人数が増えたところに間引き運転が重なって、駅が大混雑するという皮肉な結果になってしまいました。
この冬は40年振りの大寒波襲来で、1週間経った今でも道路には雪が残っています。
上は降雪5日後の朝6時、気温-4℃の裏通りの状態です。(東京都下)
例年であれば寒波が抜けて日中の気温が10℃近くまで上がり、道路上の雪は数日で消えるのですが、寒波が居座ると日中の気温が上がらず、夜間は氷点下まで下がるので氷がなかなか溶けません。
スタッドレスタイヤであればそう心配ありませんが、首都圏でウインタースポーツをやらない人が、年に数回あるかどうかの降雪に備えてスタッドレスタイヤを購入するのあまり現実的ではありません。
今回は、用途に応じたタイヤチェーンの選び方について解説します。
タイヤチェーンは大きく分けて3種類
タイヤチェーンは大きくわけて4つあります。
・非金属チェーン
・布カバー
・結束バンド
それぞれメリット/デメリットといいますか、得意/不得意なところがあります。
それぞれ見ていきましょう。
金属チェーン
滑り止めと言えば昔から金属チェーン有名ですね。
雪の日の朝、「シャンシャンシャン…」という音を聞くと、思わず田舎を思い出します。
金属チェーンは圧雪路・凍結路の坂道ではスタッドレスを凌ぐ滑り止め性能を発揮します。
金属チェーンは大きくラダー型と亀甲型の2種類あります。ラダー型はこんな感じ
亀甲型はこんな感じ
ラダー型は縦方向にチェーンが走っていないので、亀甲型に比べて横滑りに弱い傾向にありますが、構造が簡単なため非常に安価です。
ただ金属チェーン全般に言えるのですが、積雪の無い道路を連続走行するとチェーンが切れてしまうところがデメリットです。
適度に雪の上を走っている分にはいいのですが、アスファルトと金属が長時間当たり続けると、強度が落ちてきてチェーンが破断してしまうのです。
首都圏では除雪車が無いので、雪は自然と融けるのを待つしかありません。
それでも大通りは通行量が多いので比較的すぐに雪が溶けるのですが、裏通りはいつまで経っても雪が溶けず、少し溶けても寒波が入るとカッチカチの凍結路になってしまいます。
自宅から出るときはなんらかの滑り止めが無いと出られないのに、大通りに出ると雪が全くないという状況なんですね。
そういうときに金属チェーンを使うと、雪の無い道路を走行する時間がほとんどなのでチェーンが切れやすくなります。
金属チェーンが切れると、切れたチェーンが暴れてフェンダー回りの塗装を傷つけてしまい、板金塗装の追加修理が必要になってしまうなど、思わぬ出費に見舞われます。
非金属チェーン
金属チェーンの「切れやすい」という欠点を補ったものが非金属チェーンと呼ばれるもので、ゴム素材のベルトにスパイクピンが打ち込まれた滑り止めチェーンです。
非金属チェーンは金属チェーンにくらべ耐久性が高く、雪の無いアスファルトを走行しても切れにくい特徴があります。
非金属チェーンが出たばかりのときは、金属チェーンに比べて滑り止め性能で劣っていましたが、いまでは金属チェーンを凌駕するほど性能が向上しています。
ただその分金属チェーンよりも割高感は否めませんが、首都圏住まいで、降雪でも車を使わなければならないような人は、いちいち凍結路~乾燥路で脱着していられないので、こういった耐久性の高い非金属チェーンがオススメです。
脱着には少し慣れが必要がですが、取り付け動画を見て一度練習で装着しておけば、本番の時に戸惑うことはないでしょう。
布カバー
特殊繊維をタイヤにかぶせるカバータイプのもので、伸縮があるので脱着が非常に簡単なのが特徴です。
タイヤの上半分をまず掛けて、その後タイヤ半周分動かして残り半分をかぶせるだけです。
ただ布製なので、履いたまま夜間駐車すると凍ってタイヤに張り付く恐れがあるので走行後に外す必要があります。
ただ圧雪路・凍結路の脱出用としては非常に簡単に使えるので、面倒な取り付けがイヤな人にはオススメです。
結束バンド
長い結束バンドをタイヤに回して固定させるだけのアイデア商品です。
タイヤ1本に6~8本程度の結束バンドを掛けるだけでタイヤの表面に凹凸ができるので、この凹凸で雪や氷を引っ掛けてグリップ力を作り出します。
これは小型の結束バンド同様に、使い終わった後はニッパーで切断する使い捨てタイプですが、そのかわり価格が2千円程度と非常に安価です。
僕のように大雪の日は車に乗らないというドライバーであれば、保険代わりに持っていると便利です。
用途別の滑り止めチェーンの選び方
普段降雪がない地方の人が滑り止めチェーンを選ぶとすればこんな感じではないでしょうか。
仕事で車を使う人、車通勤な人
仕事でどうしても毎日車を使う人は、走行距離が10km程度であれば金属チェーンもしくは非金属チェーンが向いています。
それ以上の距離を走行するのであれば非金属チェーンがオススメですが、降雪によって予定がずらせないような職種であれば、スタッドレスタイヤ+非金属チェーンを検討したほうがいいかもしれません。
最近はネット通販でもスタッドレス+アルミホイールセットが安く買えるので、仕事でどうしても毎日車に乗らなければならない人はホイールセットの購入しておくと便利です。
お年寄りの送迎
病院やデイサービスへの送迎で近距離だけど車を使わなければならない人は、非金属チェーンまたは布カバーがオススメです。
金属チェーンは滑り止め性能は高いのですが、チェーンの凹凸が大きくて乗り心地が悪いのが難点です。お年寄りで車酔いするような方だと金属チェーンの振動は不快に感じるかもしれません。
布カバータイプであれば、凹凸が大きくないので乗り心地への影響が少ないです。(路面の氷結状態のほうが乗り心地へ影響すると思います)
乗らなくても困らない人
雪が融けるまで車に乗らなくても困らない人は、、、特に何もしなくてもいいですが、それでも子供が高熱を出したとか、家族が急病になったとかでどうしても車を使いたいときがあるかもしれません。
大雪の日は救急車も出払ってることがほとんどなので、119番で救助要請しても着てもらえないことも多いですからね。
そういうときのために、布カバーや結束バンドタイプの滑り止めを持っていてもいいかもしれません。
僕は結束バンドタイプの滑り止めを保険代わりに持っているのですが、先日の大雪で家の前でスタックしている車がチェーンも毛布もスコップも何も持っていなかったので、自宅にあった結束バンドタイプの滑り止めを付けてあげて脱出することができました。
まとめ
金属チェーンや樹脂製チェーンは、圧雪路や凍結路では威力を発揮しますが、一方で雪の無いアスファルトでは道路を削って粉塵を生み出します。
そのため、車の使用頻度、自分の地域の降雪状況を勘案した上で滑り止めを選ぶのは、車にとっても環境にとっても大事なことなのです。
金属チェーンも非金属チェーンも、現代の滑り止めはジャッキアップ無しで装着できるものがほとんどで、装着の簡単さをウリにしている商品が多いです。
しかし、いざ装着するときは雪が降る中で凍えながら作業をしなければならず、その簡単な手順さえうまくできないことが多いので、滑り止めチェーンを購入したときは、必ず一度、練習装着をしておくことをオススメします。
また、金属チェーン、樹脂製チェーン、布カバーも上限速度を超えて走行すると最悪破断する可能性があります。
装着時の上限速度は取扱説明書に規定されていますので、走行時はその上限速度以下で走行するように注意しましょう。
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