梅雨が明けると本格的な夏がやってきて、エアコンを多用する時期がやってきます。
真夏はバッテリーに負担がかかる時期ですので、今の時期にバッテリーをチェックしておきましょう。
車の点検の中でもバッテリーの点検は比較的簡単な作業です。
車はバッテリーが無いと何もできない
現代のクルマはバッテリーが無いと何にもできないです。
古いクルマでよく使われていたキャブレター車であればエンジンさえかかればバッテリーが無くても動き続けますが、現代の車はどんなに安いクルマでも燃料制御にコンピュータ(ECU)を使っているので、バッテリーが無いとどうにもなりません。
とにかく今の車にはエンジン制御以外にもエアバッグ制御やアンチロックブレーキシステム(ABS)等々、マイクロコンピュータがたくさん使われているため安定した電力が無いとクルマ自体を動かせないです。
今から30年、80年代終わりから90年代初めぐらいの車には、一部の高級車を除いてマイコンはほとんど使われていなかったですから、この30年で一気に技術革新が進んだ感じがします。
自動車用バッテリーの種類
クルマのバッテリーには、大きく分けて4つあります。
2.アイドリングストップ車用のバッテリー
3.ハイブリッド車用の補機用バッテリー
4.ハイブリッド車用の動力用バッテリー
自分で交換出来るのは1~3までです。
4のハイブリッド車の動力用バッテリーはディーラーの整備工場でしか交換できません。
今回は1~3のバッテリー点検のやり方について紹介します。
バッテリーのチェック方法
バッテリーの点検は、バッテリータイプによって異なります。
ここではバッテリー種別に説明します。
バッテリー液を補充するタイプ
バッテリー液の量が横から見えるタイプで、上面にバッテリー補充用のネジキャップが付いているバッテリーです。
こんな感じのバッテリーです。
このバッテリーは日立化成製の40B19Lのバッテリーです。
横から見るとバッテリー液の液面が見えますよね。
バッテリーの中は6つの区画に分かれており、それぞれの液面レベルが
・各セル(区切り)で液面レベルがバラついていないか
を確認します。
もし、バッテリー液が減ってLOWER(下限)を下回っているときは、バッテリー補充液を補充する必要があります。(バッテリー液の補充の仕方はこの後説明します)
バッテリー液の補充が不要なタイプ(MFバッテリーの場合)
最近はバッテリー液の補充が不要な、メンテナンスフリー(MF)バッテリーが多くなってきました。
MFバッテリーの場合はインジケーター(点検窓)が付いているので、そのインジケーターを覗いてバッテリー状態を確認します。
上の画像は僕が使っているPanasonicのCAOSシリーズのブルーバッテリーで、左下にインジケーターがあります。
このバッテリーはMFバッテリーなのにバッテリー液不足の場合は自分で補充ができるんです。
ただし一度でもフィルム(水蒸気圧コントロールシート)を剥がしてしまうと減液抑制効果が低下するため、その後は適宜、補水メンテナンスが必要になります。
つまりバッテリー液が減ったら自分で補水できるけどその後はメンテナンスフリーじゃなくなるよ、ってことですね。
また、インジケーターに要充電のサインが出ていた場合は、カーバッテリー用の充電器をつかって充電します。
充電方法は下の記事を参考にしてください。
バッテリー電圧をテスターで確認する(共通)
もしテスターを持っている人は、バッテリーの両端電圧を測定することでバッテリーの弱り具合をチェックできます。
テスターをDCモード(直流測定モード)にして、テスターの+端子(赤)をバッテリーの+端子(赤カバー)へ接触させ、テスターの-端子(黒)をバッテリーの-端子(剥き出し)に接触させます。
僕が使っているテスターがこれ。
秋月電子製のMETEX P-10というその筋では超有名な激安テスター。確か店頭でワゴン積みになっていて税込1,000円。
2012年に廃番になりましたが、後継機種はマルチメーターに変わってなんと700円です。1台持ってると何かと便利。
そのテスターでバッテリー両端の電圧を測ったとき、12.5Vより低いとバッテリーが弱っている可能性があります。
その場合は充電して回復するかどうか確認します。
充電してもバッテリー両端の電圧が12.5Vを超えないようであれば、要交換です。
バッテリー液の補充の仕方
補水タイプのバッテリーで、バッテリー液の液面がLOWERより下がっている、もしくは各セル間で液面レベルのバラツキが大きい場合は、バッテリー液を補充して液面レベルを揃えてあげます。
必要なもの
・バッテリー補充液
バッテリー補充液はカー用品店などで販売されています。大体2リットルで200~300円ぐらい。
ただ、乗用車1台しか所有していないのであれば2リットル入りの補充液だとほとんどが余ってしまうので、もっと小さいチューブ入りの補充液を購入するといいです。
強化剤入りのものもありますが、さほど違いを感じられないので普通の補充液で大丈夫です。
バッテリーは使っていくうちに、エンジンの熱などで電解液が蒸発して液量が減少していきます。
メンテナンスフリーバッテリーは電極や電解液を工夫して液量の減少を抑えるようにしてあるバッテリーです。(とは言ってもバッテリー液が全く減らないわけではありません)
バッテリー液が減少すると電極が空気中に露出してしまい、電解液に浸かっている電極部が少なくなると発電力が下がってしまい本来の電圧を出せなくなってしまいます。
そのため、バッテリー液を適正レベルになるように補充する必要があるのです。
バッテリー補充液の中身は工業用精製水です。工業用精製水とは飲料水から不純物を一切取り除いた、純粋な水(H2O)です。
水道水はミネラル分を多く含んでいるため、バッテリーの電解液には不適なんですね。
・スポイト
バッテリー補充液をボトルからそのままバッテリーに注ぐのはかなり難しいです。恐らくバッテリー周りがびしょびしょになってしまうでしょう。(笑
スポイトがあれば、補充用の穴から注ぐのも周りを濡らさずに済みますし、入れすぎたときにバッテリー液を抜くのも容易なので、バッテリー液補充をする際は購入しておきたいアイテムです。
百円ショップにいけば大概置いてあります。
バッテリー液の補充:キャップを開ける
バッテリーのキャップを開けます。(エンジン停止状態で)
バッテリー上面に+の溝が入った丸いネジがあるのがわかりますか?
このネジをコイン、もしくはドライバーを使って開けていきます。
バッテリーの補充:補充液を入れる
バッテリー液が少なくなっているセルに購入した補充液を入れていきます。
ボトルからそのまま注ぐと周囲がビショビショになるので、一旦注ぎ口が付いた容器(軽量カップなど)に受けてから、バッテリーに補充します。
液量はバッテリー横のUPPERとLOWERの間にくるように調整します。
バッテリーの補充:液面レベルを揃える
バッテリーは内部で6つの部屋に分かれています。
1つの部屋で作れる起電力は約2V。だから12Vを出すには6つの部屋が必要なんです。
その6つの部屋の液面レベルを揃えるようにします。
多すぎるときはスポイトをつかって抜き取ります。
バッテリーの交換時期(目安)
バッテリーの交換時期は、一般的には2~4年程度と言われていますが、車の使い方で寿命は結構変わります。
バッテリーの負荷が高い乗り方、例えば夜間走行が多い、近所のチョイ乗りが多い、乗る頻度が少ない、カーナビ以外にも電装品が多い、といった車のバッテリーは寿命が短くなる場合があります。
夜間走行が多いと、ライトなどの電装品がバッテリーを消費するため、走行距離が短いと充電量を消費量が上回ります。(バッテリーが減る)
近所のチョイ乗りが多いと、夜間走行と同じように充電量を消費量が上回るので、徐々にバッテリー容量が減っていきます。
逆に乗る頻度が少ないと、カーナビやECU(コンピュータ)などの電装品の待機消費電流によってバッテリー容量が徐々に減っていきます。
バッテリーの容量が減るだけならさほど問題ではありませんが、上記のような乗り方を続けていると、バッテリーの能力以上に放電してしまい過放電状態になってしまいます。
バッテリーは過放電状態になると蓄電能力が極端に落ちますので、充電しても元々の能力まで復帰できなくなります。
そのため、近所のチョイ乗りが多い、乗る頻度が少ない、といった使い方の人は、車検毎(2年毎)に予防交換してしまうのもいいかもしれません。
まとめ
(水道水は使わない。専用の補充液を使う)
・入れすぎたバッテリー液を抜き取るときは体や衣服につかないよう注意
(ついたらすぐに流水で洗う)
・MFバッテリーはインジケーター(点検窓)で状態をチェック
・バッテリー電圧が12.5V以下の場合は要充電
・充電しても電圧が12.5V以上に回復しない場合は要交換
今回はテスターを使ったバッテリーチェックの方法も紹介しましたが、電気の知識にあまり自信が無い人でも、テスターの極性とバッテリー端子の極性に気をつければそれほど難しくありません。
もしテスターを購入されるのであれば、事前に乾電池などで練習してからチャレンジしてみてください。
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