海外で車をレンタルする場合、
という人もいれば
という人もいますが、どちらが正しいのでしょうか?
今回は海外で運転するときに本当に必要な書類は何なのか?「運転免許証」と「国際運転免許証」の違いとは?を解説ししたいと思います。
国際運転免許とは
「国際運転免許とは何か?」の前に、まずジュネーブ条約について説明します。
ジュネーブ条約は1949年にスイス ジュネーブで締結された「道路交通に関する条約」で、批准している国同士でお互いの国の運転免許を認め合うというものです。
日本もジュネーブ条約を批准していますので、日本の運転免許があれば批准国で運転することができます。
ですから、海外で運転する際は必ずしも国際運転免許証が必要というわけでは無いのです。
しかしそれでは、海外で日本の免許証を提示されても現地のお巡りさんはそれが正当な運転免許証なのかわかりません。日本語わからないから当然ですよね。
そこで運転免許センターでは写真と手数料(2,400円)を支払うと国際運転免許証を発行してくれます。(有効期間:1年)
国際運転免許とは、ジュネーブ条約に基づいて発行された運転免許のことを指すのですが、内容は日本の免許証の英訳版です。
しかし、実はこの国際運転免許証は「免許証」と書いていながら免許証ではありません。
どういうことでしょうか?
licenseとpermitの違い
運転免許証は英語で”driving license“です。
でも国際運転免許証の下には”INTERNATIONAL DRIVING PERMIT“と書いてあります。
そう、国際運転免許証は正確には免許証(license)ではなく許可証(permit)なんです。
だから正確には国際運転免許証=INTERNATIONAL DRIVING PERMITは運転資格を裏付けるLicenseではなく単なる許可証なのです。
licenseは公的に証明されたもので、permitは一時的に許されるもの、という違いがあります。(同じ免許でも仮免許はtemporary permitと許可証扱いです)
そのため国際運転免許証だけで運転してはいけないのです。
国際運転免許証を発行する根拠となる日本の免許証も一緒に携帯する必要があります。
DMVの見解
カリフォルニア州のDMV(Department of Motor Vehicle:日本で言うところの運転免許センター)の見解がウェブサイトに乗っていたので引用します
International Driving Permits
The State of California does not recognize an International Driving Permit (IDP) as a valid driver license. California does recognize a valid driver license that is issued by a foreign jurisdiction (country, state, territory) of which the license holder is a resident.
The IDP is only a translation of information contained on a person’s foreign driver license and is not required to operate a motor vehicle in California. Citations issued to a person in California who has an IDP, but does not have a California driver license will be placed on the Department of Motor Vehicle database.
要約すると、「カリフォルニア州では国際運転免許証(International Driving Permit:IDP)を正規な運転免許証として認識していません。外国の当局が発行した運転免許証を正当なライセンスとして認めている」としています。
ここで言う「外国の当局が発行した運転免許証」は、国際運転免許証のことではなく、いつも国内で使っているオリジナルの運転免許証を指します。
国際運転免許証も当局(都道府県警察)が発行するので勘違いしやすいところですが、あくまでも国内で使っている運転免許証を正規なライセンスとして認める、と言っています。
また「国際運転免許証は海外の免許証の翻訳でしかなく、カリフォルニアで運転する際に必要ではない」としています。
つまり「国際免許証は不要です、あなたの国が発行した運転免許証があればOKですよ」と言ってるわけです。
それでも国際運転免許証を持って行ったほうがいい理由とは
じゃあ「日本の運転免許証だけあればいいんだ。国際免許証はいらないんだね!」と思うかもしれませんが、やっぱり国際免許証が無いといろんなシーンで不便です。
それには3つ理由があります。
1.レンタカー会社のスタッフは日本語が読めない
レンタカー会社の窓口で貸出手続きをする際、スタッフがdriving licenseを確認しますが、当然、日本の運転免許証に何が書いてあるか理解できません。
各レンタカー会社にもよりますが、国際運転免許証だけで手続きをしてくれるスタッフもいれば、「オリジナルの免許証も見せてください」と要求するスタッフもいます。
日本からの直行便がある空港のレンタカーオフィスには日本語のわかるスタッフがいることも多いですが、そんなに人数も多くないので彼らが空いていなかったら、手続きが後回しになってしまいます。
そのため、その英訳文書である国際運転免許証があると日本語が読めないスタッフでも手続きがスムースに進みます。
ただし例外があって、日本人観光客の多いハワイやグアムでは日本の運転免許証だけでレンタカーの手続きが可能です。
2.向こうのお巡りさんも日本語がわからない
車を運転している限り、いくら安全運転に努めていたとしても違反や事故のリスクは避けられません。
もし警察官に停められてしまったときに日本の運転免許しか持っていなかったら、彼らが日本語の免許証を理解出来るとは到底思えません。当然ですがアメリカの警察官のほとんどは日本語を解しません。
テキトーな警官だったら「外国人かよ、面倒臭そうだな」とさっさと解放されるかもしれませんが、真面目な警官だと日本の免許証の正当性を必死に調べるかもしれません。
建前は、日本の運転免許証が「正」で国際運転免許証は「正の翻訳版」です。
しかしトラブルが起きたときに助けてくれるのは、読めない「正」よりも理解できる「翻訳版」なのです。
私も何度か警官に止められたことがありますが、日本の免許証を訝(いぶか)しげに見た後に「これ日本のドライバーライセンス?トランスレート(翻訳)したものは無いの?」と言われたことが何度かあります。
3.州が変われば法律が変わる
先ほどカリフォルニア州DMVの見解を引用しましたが、これはあくまでも「カリフォルニア州」の見解です。
アメリカは州毎に法律が異なり、州が違えば消費税率も変わる国です。
カリフォルニア州ではオリジナルの運転免許証を認めていますが、他の州では認めていないかもしれません。
全部の州のDMVのサイトを見たわけでは無いので正確なところはわかりませんが、他州の法律を調べ上げるよりは2,400円払って国際運転免許を取ったほうが全然楽です。
【アメリカ限定】運転免許翻訳サービスでも大丈夫
最近はレンタカー会社が提供している運転免許の翻訳サービスを使って翻訳文書を作ると、国際免許証を作らなくても大丈夫です。(ただしアメリカ限定)
レンタカー会社によっては無料で翻訳してくれるところもあるので、行き先が決まっている人にはいいかもしれません。
翻訳サービスを提供しているレンタカー会社などについてはこちらの記事にまとめてありますので参考までに。
まとめ
- ジュネーブ条約加盟国であれば日本の免許証で運転できる。
- 現地のレンタカー会社は日本語の免許証を読めない。そのため現実はその英訳版となる国際運転免許証が無いと契約ができない。(ハワイ、グアムを除く)
- 日本語の免許証だけだと現地の警察官が読めないので国際運転免許証があると不要なトラブルを避けられる。
ということで、海外でレンタカーを借りる予定であれば、必ず日本の運転免許証と国際運転免許証の2つを忘れずに。
私は国際運転免許証の発行代2,400円は、レンタカー手続きや現地警察官との摩擦を回避するための費用と割り切っています。
個人的には、日本の免許証を英語併記にするとか表面を日本語、裏面を英語表記にしてもらえるとありがたいんですけどね。
警察も国際運転免許証を発行する手間が省けると思うんですが、ダメなんですかね?
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