車にはいろんな消耗品が使われていますが、中でもバッテリーの交換費用が意外に高くてびっくりしたことはありませんか?
もちろんディーラーやカー用品店のメカニックに交換してもらうのもいいですが、バッテリー交換は意外と簡単なので、ポイントを押さえれば女性でも交換できます。
今回はバッテリーの交換の仕方と、バッテリー交換費用を節約するための方法について解説します。
バッテリーの寿命ってどのくらい?
車の使用頻度や使い方にもよりますが、バッテリーの寿命は大体2~3年程度といわれています。
次のような症状が出てきたらバッテリーが弱ってきた証拠です。
(一瞬止まったりする)
・アイドリング時にヘッドライトの明るさが暗くなる
(走り出すとまた明るくなる)
・パワーウィンドウの開閉が重い
(ウィンドウの動きが遅い)
・ウインカーの点滅が遅くなる
(元気がない感じ)
こんな症状が出てきたらバッテリーが怪しいです。
バッテリー交換して2年以内であれば、バッテリー液の補水、充電することで概ね改善します。
前回交換から2年以上経っているのであれば交換しましょう。
出先でバッテリーが壊れると本当に泣きたくなります。
バッテリー交換の費用はどのくらいかかる?
一般的なディーラーでバッテリー交換しようとすると、
・作業費:500円~2000円程度
と、バッテリー代と工賃合わせて2万円近くかかります。ひー、結構痛い…。
ではディーラーがボッたくってるかと言えばそうではありません。
自動車メーカーでは交換用バッテリーはメーカーや型式が推奨されていることが多く、基本的にディーラーでは交換部品に推奨されているメーカー型式のバッテリーでしか交換しません。
しかしそのバッテリーは性能や品質がその車種に採用して問題無いことをメーカーが確認した上で「推奨交換部品」に指定しているので、品質に関しては折り紙つきです。
言ってみれば「高くていいもの」なんですね。(もっとも、ディーラーでは定価で売っているということもありますが)
一方、作業費自体は500~2000円程度とさほど高くありません。
実際、バッテリー交換の作業自体は難しいことはなく、整備士であればものの10分もかからない作業です。
バッテリーは互換品が使える
つまりディーラーでバッテリー交換すると高くつくのは、バッテリー自体が高いんですね。
でも自動車用バッテリーは汎用品なので、電圧/容量/端子位置/サイズが合っていれば、他の市販バッテリーでも流用できます。
コンパクトカーやミニバンなどのファミリーカー用のバッテリーであれば、メーカーにもよりますが新品バッテリーが3000円程度からあります。
まずはバッテリー型式の確認
まずは自分の車のボンネットを開けてバッテリー型式を確認します。
例: 40B19L
40:バッテリー性能ランク
B:バッテリーの短側面(幅と高さ)
19:バッテリーの長さ(19cm)
L:バッテリーのマイナス端子の位置
初めの数字(上の例では”40”)はバッテリーの性能ランクを示しています。
特に単位はありません。この数字が大きいほどバッテリーパワーが大きいと考えてOKです。
次のアルファベット(上の例では”B”)は、バッテリーの幅と高さの寸法を示しています。
アルファベット毎(A~H)に寸法がJISで規定されており、”B”は幅が129mm、高さが203mmです。
次の数字(上の例では”19”)はバッテリーの長さ方向の寸法を示しています。”19”だと19cmの意味です。
末尾のアルファベット(上の例では”L”)は、バッテリー端子の位置を示しています。
自動車のケーブル類は寸法がピッタリに配線されているので、例えばバッテリー型式”40B19L”が付いている車に、”40B19R”のバッテリーを付けようとしても電源ケーブルが端子まで届きません。そのぐらいシビアな配線になっています。
例えば、現状付いているバッテリーが「38B19L」であれば、性能ランクが上の「40B19L」のバッテリーを使ってもいいですし、もっと上の「50B19L」のバッテリーを使っても大丈夫です。
ただし、一般的には性能ランクがあがれば価格も比例して高くなります。
アイドリングストップ車のバッテリー
信号などで停車したときにアイドリングが停止するアイドリングストップ車は、発進時にスターターを回してエンジンを始動するので、バッテリーに対する負担が大きいのと、充電制御が一般のバッテリーとは異なるので、アイドリング車専用のバッテリーが車種によって指定されています。
これも今付いているバッテリーを見れば型式がわかります。
M42RとかQ55Lといった型式です。
例: K42R
K:外形寸法区分(標準バッテリーのB19相当)
42:性能ランク
R:バッテリーのマイナス端子の位置
パナソニックのサイトにカーバッテリーの型式について詳しく説明しているページがありましたので、詳しく知りたいかたはどうぞ。
>>自動車用バッテリー 品番の見方(Panasonic社のサイト)
一般的には、アイドリングストップ車用のバッテリーは標準バッテリーより価格が若干高い傾向があります。
ちなみに、アイドリングストップ車に標準バッテリーを接続しても走行は可能ですがアイドリングストップしなくなるといった症状が出てきます。
これは、車側のECU(コンピュータ)が充電制御に対応していない標準バッテリーを「弱っている」と判定してしまうため、アイドリング中でもエンジンを止めないようにするためです。(バッテリーが弱っているのにアイドリング時にエンジンを止めてしまうと、再始動出来なくなる可能性があるので)
せっかくのエコカーなのにアイドリングストップできないのでは意味がありませんので、標準バッテリーではなく、必ずアイドリングストップ車用バッテリーを選んでください。
ハイブリッド車のバッテリー
ハイブリッド車のバッテリーは2種類あります。
2.補器用バッテリー
1は車種専用品なので汎用品はありません。ディーラーに行って交換してもらうしかありません。
2は市販の互換バッテリーがあるので、自分でバッテリー交換可能です。
こちらも基本的には今装備しているバッテリーと同じ型式のバッテリーを使えば問題ありません。
バッテリー交換前に注意しておくこと
盗難防止アラーム(イモビライザー)装備車は、バッテリーを外した後に新品バッテリーを接続してもロック状態になって始動できません。
ロック解除するには購入時に設定したパスワードなどが必要になってきます。
同様にカーナビも単品での盗難防止のために電源投入時にパスワードを求められる機種もあります。
これらは高級車に多い仕様です。
バッテリーを外す前に、盗難防止アラームやカーナビのロック解除用パスワードを確認してから作業を始めてください。
もしパスワードがわからない場合は、本人確認の上でディーラーでのロック解除作業が必要になるので、バッテリー交換はディーラーにお願いしたほうがいいと思います。
次から、実際にバッテリー交換の方法を説明します。
準備するもの
必要なものはこれだけです。
普通免許で乗れる車のバッテリーであれば10mmのレンチがあれば大丈夫。
それと、手を汚したくない人は軍手があったほうがいいと思います。
僕は最近だと料理用のラバーグローブを使ってます。こんな感じのやつ。
軍手だと手が汚れない代わりに細かい作業がし辛いですが、ラバーグローブだと素手に近いので小さいナットを扱うのも苦になりません。
しかも爪の間に汚れが入らないのでオススメです。
10mmレンチはバッテリー端子のナットやバッテリー固定ステーを外すのに使います。
もし工具を持っていなければ、ホームセンターに行くと下のようなコンビネーションレンチのセットが500円程度で売っています。
持っていなければこの機会に購入しておくと何かと便利です。
バッテリーの交換方法
※下記を一通り読んでも交換できそうな気がしない場合は、ディーラーやカー用品店、ガソリンスタンドなど整備サービスのあるところにお願いしましょう。
初めにバッテリー端子のマイナス(-)側を外す(※重要)
まず最初にマイナス側(”-”表示のあるほう)の端子を10mmレンチを使って外します。
マイナス側を先に外すのはショート(短絡)によるバッテリー破損を防ぐためです。
自動車のバッテリーは、マイナス側はボディに接続されています。(バイクの場合はフレーム)
そのため、プラス(+)側を先に外そうと作業しているときに、工具とボディが接触すると大電流が流れてしまいます。
実際はボディ側は塗装してあるのでちょっと短絡したぐらいでは短絡しませんが、塗装されていないボルトなどに触れると激しいスパーク(火花)が飛びます。
バッテリーは定格を超えた大電流を流すと壊れてしまいます。一度壊れたバッテリーは再充電しても直りません。
なので、バッテリー交換の際は必ずマイナス(-)端子から外してください。
次にプラス(+)端子を外す
マイナス端子を外したら、次にプラス(+)端子を外します。赤いゴムカバーがつけてあるほうです。
バッテリーストッパを外す
バッテリーを止めているステー(バッテリーストッパ)を外します。
バッテリーストッパの両側にある細い棒は金属の棒の先が曲がっており(フック状)、それをトレーにひっかけて固定されています。こんな感じ。
上のナット2か所を外すと下のフックも外れるます。
古いバッテリーを下して、新品バッテリーをバッテリートレーに乗せる(※方向注意)
古いバッテリーをバッテリートレーから降ろします。
バッテリーは意外と重いので、誤ってボディに落とさないようにしっかりと持って降ろします。
たまにバッテリー端子を両手で触ると感電すると思っている人がいますが、素手で端子を触っても感電しないので安心してください。
汗で手が濡れている状態でバッテリーの両端子を触ると感電しますが、それでも多少手がピリピリする程度です。
古いバッテリーを降ろしたら、新しいバッテリーをバッテリートレーに載せます。
その際、バッテリー端子の位置が降ろしたバッテリーと同じ位置になっていることを確認してください。
バッテリーストッパを取り付ける
バッテリーストッパを取り付けます。
片側だけ先に絞めるとバッテリーステーが傾いたままバッテリーを固定してしまうので、両側のナットを均等に締め上げていきます。
バッテリー端子のプラス(+)端子を取り付ける
今度は外した時と逆にプラス(+)端子から接続して、10mmレンチで締めます。(プラスは赤いキャップが付いているほう)
この状態ではマイナス端子が接続されていないので、もし工具がプラス端子とボディをブリッジしても電流は流れません。
バッテリー端子のマイナス(-)端子を取り付ける
最後にバッテリーのマイナス(-)端子を接続します。
仮にこの状態で工具がマイナス端子とボディーをブリッジしても同じ電位なので電流は流れません。
目視確認する
次の項目を最終確認します。
・+端子、-端子のボルトが緩みなく取り付けてあるか?
エンジンを始動させてみる
セルスターターが回ってエンジンが始動できれば接続OK。
セルスターターが回らずウンともスンとも言わないときは、恐らく以下のうちのいずれかの状態になっているはず。
→左右逆にしてバッテリートレーに載せてしまった
・型式を間違った
→40B24Lを購入するところを40B24Rを注文してしまった
逆接続してしまうと、その後正しいバッテリーを装着してもセルスターターが動かないかもしれません。
そのときは十中八九、ヒューズが切れています。
ヒューズボックスは運転席足元のあたりか、助手席のグローブボックス下にあったります。車の取扱説明書をみればどこにヒューズボックスがあるか書いてあります。
新品のヒューズに交換して再度エンジンを始動してみてください。
…とここまでざっと説明しましたが、交換するイメージが出来たでしょうか?
コメリのバッテリー交換の動画が非常に簡潔にまとめられていたので参考にしてください。女性でも簡単に作業しています。
バッテリーの廃棄方法
バッテリーに入っている鉛は有害産業廃棄物に指定されているので、その辺に勝手に捨ててはいけません。
バッテリーは再生可能な資源で、バッテリーを購入した店だと無償で引き取ってくれます。
最近だと、ネットでバッテリーを購入しても、購入した個数分までは無償で引き取ってくれるところが多いです。
中には着払いで古バッテリーを引き取ってくれる良心的なネットショップもあります。
管理人のお勧めバッテリーは
僕が最近良く使っているのは、パナソニックのBlue Batteryシリーズの”CAOS”。
このバッテリー、値段の割りに性能がいいんですよ。
バッテリー液の補水がいらない、いわゆる「メンテナンスフリーバッテリー」で、点検窓を覗くとバッテリー状態が一目でわかるようになっています。
前回交換から4年経ってますが点検窓はいつも「正常」です(笑
僕の車に使っている60B19Lはネットで大体5~6千円程度で販売されています。しかも廃バッテリー引取り込み。
そもそもPanasonicは家電用の電池はもとより動力用の二次電池も作っており、世界中の自動車メーカーで採用されている電池メーカーです。
バッテリーと言えば上の写真にもあるように上が黒いプラスチック、下が半透明な白いプラスチックという、いかにも”バッテリー”な見た目がほとんどですが、パナのカオスシリーズはバッテリーが全面ブルーなのが気に入ってます。
使ってる分には色は見えないんですが(笑
バッテリー交換のまとめ
ディーラーでバッテリー交換すると1万数千円~2万円近い出費になりますが、自分でバッテリーを購入すれば5千円~1万円弱で交換できます。
バッテリー交換で注意する点です。
特に末尾のアルファベットが同じものでないとバッテリーケーブルが届かないので要注意。
・バッテリーを外すときはマイナス端子から外す。
接続するときはプラス端子から接続する。
・バッテリーは買ってに捨てずに、購入店に引き取ってもらう。
作業は一つ一つ丁寧にやれば、全く難しいことはありません。
新品のバッテリーで炎天下のドライブも快適に乗り切りましょう。
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