よく考えたら、車を青空駐車するってことは、何百万もする財産を外に放置しているんですよね。
もちろんキーが無ければ動かせないので心配し過ぎと言われるかもしれませんが、もしあなたの車が人気車種だとしたら…単なる杞憂ではありませんよ。
今回は車泥棒の思考を交えつつ、盗難対策について解説したいと思います。
いきなり盗難防止グッズを揃える前に、まずは泥棒の思考を知る
カー用品店でいきなり高価な盗難防止グッズを揃える前に、まずはどんな車が被害に遭いやすいのか?車泥棒はどんな思考をするのか?について整理したいと思います。
どんな車が狙われるか?
日本損害保険協会のサイトに「第17回自動車盗難事故実態調査」の結果があったので引用します。
このデータは全ての盗難被害にあった車の総数ではなく、損保会社が保険金を支払った事案を集計したものです。
1位:プリウス(19.9%)
2位:ハイエース(17.6%)
3位:ランドクルーザー(7.4%)
4位:アクア(5.8%)
5位:クラウン(4.8%)
6位:レクサス(3.8%)
7位:キャンター(2.2%)
7位:ハリアー(2.2)
9位:アルファード(1.9%)
9位:セルシオ(1.9%)引用:www.sonpo.or.jp
上位の3車種、プリウス、ハイエース、ランドクルーザーは常連です。
昨年はハイエースが1位でプリウスが2位でした。ここ何年も上位3車種は変わっていません。
なんと驚くことに、7位のキャンター(三菱のトラック)を除いて全てトヨタ車です。
なぜトヨタ車が狙われるのか?
トヨタ車の被害が多いのは、まず販売台数が多いのでそれに比例して車上荒らしの被害件数が多くなっていることが挙げられます。特にプリウスはハイブリッド車では一番売れていますから、統計を取ると被害も目立ってしまいます。
次に、海外窃盗団の暗躍が挙げられます。
彼らがトヨタ車を中心に狙うのは、部品が世界中で入手しやすいからなんです。
トヨタは世界で最も車を販売しているメーカーで、世界中にサービス拠点があります。
そのため、皮肉にもトヨタ車はどこの国に持って行っても部品入手が容易なので世界中から需要があるんですね。例え盗品でも。
3位のランドクルーザー(オフロード車)は道路が整備されていない途上国では絶大な人気があります。
どんな悪路でも走ることができてしかも壊れない。たとえ壊れても部品入手が容易ですから盗品でも高値で取引されています。
2位のハイエースは、日本では商用車として使われるのが多いですが、海外では送迎用やバス代わりに使うことが多く需要が高い車種です。大型のバスは中古でもそれなりに値が張りますし、車体も大きいのでそう簡単に盗めません。
当然、トヨタも盗難防止装置(イモビライザー)をメーカーオプションにして対策していますが、トヨタ車は世界中で売れているがために解除装置もすぐに作られてしまうんですね。
車泥棒の目的は?
車泥棒や窃盗団の最終目的は盗難車を売りさばいて収益を得ることです。(当たり前ですが)
リスクを犯して犯罪行為に手を染めるわけですから高値で売れる車を中心に狙いますが、そうでない車でも開錠する手間が少ない(セキュリティが甘い)車があればそういう車も狙ってきます。
トヨタ車じゃなくても日本車は比較的高値で取引されています。
でも捕まるリスクは最大限避けたい
当然ながら車泥棒は捕まるリスクを最大限避けたいので、リスクとリターンを天秤にかけてターゲットを探します。
例えば、上で引用したプリウス、ハイエース、ランクルなどは高値が見込めますから多少リスクが高くても盗みにいきます。もちろんリターンが大きいからですね。
一方、マイナーな車種なのに盗難防止装置や防犯カメラが付いてたりするような、リスクが大きくてリターンが少ない物件は積極的に狙うことはありません。
これは普通の窃盗犯と同じ思考ですね。
例えば、ある住宅に現金5000万円が保管されているという確実な情報があれば、泥棒は多少のセキュリティがあったとしても侵入を試みるでしょう。ハイリスクだけどハイリターンだからです。
しかし金目のモノがあるかどうかもわからない普通の家であれば、ドアの鍵が二重になっていた時点で泥棒は侵入を諦めるでしょう。この場合は期待値が低い(ローリターン)ですから、解錠の手間が大きいと割に合わないわけです。
泥棒の思考は実にシンプルです。
車の盗難防止策のポイント
車泥棒の心理から、防犯装置が作動している車や監視カメラが付いている駐車場はそれだけで「この車は盗むのに手間がかかるぞ」という圧力になります。
駐車場所
車を止めているところが
・人通りが少ない裏通りに面している
・人通りが少ない月極駐車場
・防犯カメラが付いていない月極駐車場
というような場所では盗難防止策は必須です。
一般的なコンパクトカー、軽自動車の場合
ハイブリッドでない一般的なコンパクトカーの場合、メーカーオプションの盗難防止装置を選択する人はそう多くないかと思います。
そのため、市販の盗難防止装置を装着するのが一番いいのですが、年数が経っている車に何万円もかけて盗難防止装置を付けるのはコストに見合わない、という人もいるでしょう。
そういう場合は、ダミーセキュリティランプを付けるだけでも大分違います。
ダミーランプはソーラーパッテリーを内蔵しているので配線不要で、しかもダッシュボードに両面テープで貼るだけなので誰でも取り付けることができます。
自動的に昼/夜を検知して、夜になるとLEDが一定間隔でチカッと点灯します。あたかも盗難防止装置が作動しているようにアピールするわけです。
こんな簡単なもので防げるのか?と思うかもしれませんが、先程説明した車泥棒の心理から
↓
「ダミーかもしれないし本物かもしれない」
と車泥棒に思わせられればいいのです。
安いコンパクトカーをハイリスクを犯してまで盗もうとするよりは、他のセキュリティの甘い車を探したほうがよっぽどリスクが少ない、と考えるのが普通です。
盗難被害トップ3車両の場合
盗難被害トップ3のプリウス、ハイエース、ランクルは盗めば高値での取引が見込めますから、盗難防止装置が付いていても積極的に盗みにいきます。ダミーランプ程度では見抜かれてしまうかもしれません。
そのため、盗難被害の多い車種を青空駐車している場合は、追加で盗難防止策を講じないと盗難のリスクにさらされてしまいます。
追加する盗難防止策で有効なものは、
社外製盗難防止装置(OBDガード)
メーカー純正の盗難防止装置は世界中で販売されているために、解除装置も早々に作られてしまいます。
そういった解除装置は窃盗団の間で共有され、カーセキュリティが甘いと言われる日本で使われるのです。
最近の車にはOBDコネクタが装備されており、このコネクタ経由で車載コンピュータと接続して点検整備の際に使うのですが、最近の窃盗団はこのコネクタから不正侵入して純正の盗難防止装置(イモビライザー)を無効化するとった手口で盗んでいくのです。
このサービスコネクタをOBDガードというロック付きコネクタで物理的にカバーして、不正侵入する機器の接続を出来ないようにします。
このOBDガードは、配線作業不要で女性でも10分程度で取付できるぐらい簡単です。(市価18,800円)
盗難被害トップ10の車種には全て装着可能ですので、装備しておきたい盗難防止グッズの一つです。
物理的な盗難防止器具
古典的ですが、
・ペダルロック
・タイヤロック
などの一目でわかる盗難防止器具も有効です。
乗り降りする際に付けたり外したりする手間はありますが、それでも外から見て「ロックがかかっていますよ」というアピールは、それだけで車泥棒の意欲を削いでくれます。
監視機能付きドライブレコーダー
今や標準装備に近いドライブレコーダーですが、最近のドラレコにはエンジンがかかっていない駐車状態でも録画する機能を持った製品も多くリリースされています。
監視機能付きドラレコは、設定によって監視範囲に動くものがあったときだけ撮影する機能や、バッテリーが低下してきたら録画機能を自動でキャンセルする機能を備えているので、バッテリー上がりにも考慮した機能を装備しています。
監視機能が動作しているときは、動作中をアピールするLEDも点滅するので、視覚的な防犯効果も見込めます。
盗難防止のまとめ
・駐車場所のリスクを知る
・自分の車が盗難被害に遭いやすい車種かどうかを知る
・青空駐車の場合は、二重三重の盗難対策を講じること
自分の車が盗難被害に遭いやすい車種かどうかを把握しておくことは、盗難被害に遭わないための第一歩です。その上で、盗難リスクや予算に合わせて対策を講じていくとよいでしょう。
現在、月極駐車場に青空駐車しているのに何も対策していない人は、とりあえずダミーランプだけでも装着しておきましょう。カー用品店で1,000~2,000円程度で購入できます。
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