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将来の失業に備えて大型免許でも取るか…って世の中そんなに甘くない、って話

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よく「大型免許持っていれば、将来失業してもトラックドライバーで食っていける」といって大型免許を取る人がいますが、その程度の認識では、いざ失業してトラックドライバーになろうとしても門前払い食らうのが必至です。

今回はその理由を説明したいと思います。

トラックドライバーという仕事

多分こんなことを言う人は「トラックドライバーなんて免許があれば誰でも出来る仕事」と思って、今の自分の仕事より一段下に見ている人に多いです。

菅原文太主演の映画「トラック野郎」シリーズのイメージや、その後流行したデコレーショントラック(デコトラ)に乗る”やんちゃなオジサン”というイメージがなんとなく根底にあって、社会をはみ出した人達でも自由気ままにやっているのだから「簡単に出来るんじゃね?」と思ってしまうのかもしれません。

確かにトラックドライバーという仕事は、医師や弁護士のような高度な専門性が要求される仕事ではありませんが、かと言ってペーパー大型免許の人間がいきなり荷主の荷物を運べるほどイージーな仕事ではありません。

ちなみにデコトラが減った理由

以前はバイパスや高速道路でも比較的良く目にした電飾が派手なデコレーショントラック(デコトラ)ですが、最近、めっきり見かけなくなったと思いませんか?

当然ですがこういった派手な装飾を施したトラックは、全長/全幅/全高が変わってしまうので車検が通りません。違法改造ですね。

最近は運送会社でも法令遵守(コンプライアンス)を重要視されるようになり、違法改造のトラックを運用することは荷主の利益に反することになってしまいます。

大手運送会社でも自社便で不足する分は地場の会社や独立系に外注しますが、当然そこでも法令遵守が求められるので、違法な装飾を施したトラックでは受注出来ないのです。

また多くの物流センターでもデコトラは入場禁止になっているところが多く、事実上デコトラでは仕事を請けられなくなったのです。

そもそも、実績の無い人間に高価なトラックを預けるわけがない

考えてみればわかりますが、いくら人手不足とは言え大型免許を取ったばかりもしくは大昔に大型免許を取っただけの人間に、いきなり数千万円もするトラックを運転させるでしょうか?

大型トラックって車台形状や架装によってピンキリですが、10トン車の平ボデー(荷物を乗せるところに屋根が無いタイプ)で1000~1200万程度、箱車(荷台が箱型で後部扉から積み下ろしするタイプ)で1500~2000万程度、ウイングタイプ(側面が鳥の羽のように自動で開け閉めできるタイプ)や冷蔵仕様になると3000万近くします。

運送会社で一番高価な資産であるトラックを、免許取りたての人間やペーパードライバーにいきなり乗務させるわけがありません。リスク高すぎでしょう。

せめて、応募する時点で「4tでの近距離配送をやってました」とか中型トラックでの運転経験が無いと採ってくれないでしょうね。

仮にドライバーで採用されたとしても、いきなり大型トラックに乗務させられないので、まずは2tトラックでの配送業務で経験を積むように言われるでしょう。その後4t、10tとステップアップしていくのが普通です。

いきなり大型に乗務させる会社があったら、恐らく「ドライバーに起因する故障、修理はドライバー個人に請求」「到着遅延による損害は罰金」などといったブラックな職場である可能性が高いです。(それ自体も違法ですが)

大型車だけの会社だと、未経験のペーパー大型ドライバーはまず雇用してもらえません。

「え?大型免許持ってれば1~2週間同乗訓練して大型トラックを運転させてくれるんじゃないの?」と思ってる方、そんな甘い話じゃないんですよ。

でも運送業界は人手不足なのでは?

確かに運送業界は慢性的に人手不足で、高卒でも配送業務に従事できるように2017年3月に準中型免許が新設された経緯があります。

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長距離ドライバーも高齢化が進んで熟練のドライバーの数が年々減っていることもあって、福山通運では大型トラックの荷台を2つ連結した全長25mのダブル連結トラックを200台導入すると発表がありました。

乱暴に言えば「長距離ドライバーを育成するより、トラック自体の輸送力を上げたほうが早いよね」って考えです。

福山通運でも「このダブル連結トラックに乗務する人間はけん引免許歴5年以上の要件で社内選抜している」としていますから、人手が足りないからと言って誰でもいいわけではありません

慢性的に不足しているのは「スキルのあるドライバー」であって、ペーパードライバーじゃないんです。

ペーパードライバーだったら、若い準中型免許所持者を育成したほうが会社としては楽ですからね。

必要な免許は必要なときに取ればいい

将来の不安に備えて資格を取るのは結構ですが、その取得にかかるコストとリターンが見合っているかどうかがポイントだと思うんです。

大型免許は普通免許を持っていても20万円~の費用がかかります。

運送業界を目指すのなら有用ですが、将来ドライバー職につくかどうかもわからない時点で20万円もの投資をするのは”死に金”と言ってもいいぐらい、ほとんどメリットがありません。

まとめ

・運送業じゃない人が将来に備えて大型免許を取得するのは無駄
・免許は必要なときに必要なものを取ればいい

今回この記事を書いたのは、会社の同僚が「最悪会社をリストラされても大型免許持ってるからトラックドライバーで食っていける」と、のたまってたのが発端です。

よくよく聞いてみると、

・大型免許を持っていればすぐに大型トラックに乗れる。
・長距離が大変なのは長崎の実家に車で帰省する経験からよく知ってる。
・今より給料下がるけど、トラック乗りながら前職のキャリアが活かせる仕事を探せばいい。

などど40歳も過ぎて脳内バラ色なことを言ってるので、戒めも込めて今回書いたような話をしました。

今の仕事や会社が不安で不安で仕方がなく、大型免許を取ることで少し心が休まるならそれはそれで意味があることかもしれませんが、それだけのお金があれば今の業務スキルを伸ばすほうに投資をしたほうが現実的ではないでしょうか。

運送業に行くつもりは無いけど、車が好きで好きで大型免許を取りたいんだ!って、免許取得自体が目的になっているのであれば構いませんけどね。
 

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