突然ですが、寒い日に車のマフラーから白い煙がモクモクと出ているのを見て驚いたことがありませんか?
すぐに消える煙なら心配ありませんが、青っぽくいつまでも残る煙がマフラーから出る場合はエンジンに異常があるかもしれません。
今回はそんな「煙」にまつわる話です。
マフラーから白煙が出るときのチェックポイント
マフラーから吐き出す煙は、その種類によって何もしなくてもいい場合と、点検・修理が必要な場合があります。
白煙がすぐ消えるとき
特に冬に多いのですが、エンジンを始動直後~走り始めて間もないときにマフラーから白い湯気のような煙が出る場合があります。
その煙がすぐに消える場合は、排気ガスに含まれている水蒸気が外気で冷やされたものなので、特に心配いりません。走り始めて10分もすれば煙が出てこなくなります。
通常エンジンでガソリンが燃焼すると二酸化炭素と水が生成されます。
気温が低い冬は排ガス中に含まれる水蒸気が結露するため白い煙(湯気)となって目立つわけです。
白煙がすぐ消えず、鼻につく臭いが残るとき
マフラーから出る白煙がいつまでも消えず残る場合や、青っぽい煙が残る場合は、エンジンオイルも一緒に燃焼している可能性があります。
エンジンの潤滑を行うオイルは通常は燃焼室には入りませんが、何らかの問題によって燃焼室に入り込み、ガソリンと一緒に燃焼するため白煙となって見えるのです。
原因1:オイル上がり
白煙の原因の一つはオイル上がりと言われる現象です。
ピストンリングの摩耗によって、シリンダー壁面とピストンリングの隙間が大きくなってしまい、その隙間からオイルが燃焼室に「上がって」くることから「オイル上がり」と言われます。
通常は適切にオイル交換を実施していれば、10万km程度ではこのような状態にはなりません。
走行距離が多い車両か、オイル管理が適切でなかった可能性があります。
普段使っているオイルよりも粘度が高いオイルに変えてみると症状が治まる場合があります。
例えば、通常は5W-20のオイルを使っているのであれば、10W-30のような粘度の高いオイルを入れてみると症状が改善する場合があります。
これは、オイル粘度が高くなると今まで通り抜けていた隙間を通りづらくなるため、オイルが燃焼室に入りづらくなるからです。
オイル粘度を上げても改善しないようであれば、エンジンの分解修理が必要となります。
ピストンリング交換やシリンダーライナーを交換するとなると、いわゆる腰上のオーバーホールが必要となり修理費も高額になります。
原因2:オイル下がり
もう一つの原因はオイル下がりです。
オイル下がりとは、吸気・排気バルブを潤滑するオイルが何らかの原因で燃焼室に入り込んでしまう症状です。
オイル上がりと同様にガソリン一緒にオイルも燃焼するためマフラーから白煙が出てきます。
吸排気バルブにはステムシールというゴム部品がありますが、これが劣化するとシールの密閉が効かなくなってオイルが流れ込んでくるのです。
エンジンオイルを定期的に交換せず汚れたまま運用していると、オイル内にたまったスラッジ等の影響でステムシールの性能が劣化します。
また、プラグ穴のプラグホールガスケットというゴム部品が劣化すると、オイルが燃焼室に浸み出してしまうケースもあります。これもオイル下がりの原因の一つですね。
オイル下がりの原因は主にゴム部品の劣化が多く、走行距離が多い車や車齢が多い車で発生しやすいです。
白煙を防ぐにはオイル管理が何より大事
オイル上がりやオイル下がりの原因は、不適切なオイル管理である場合が多いです。
車検をまたいで何年もオイルを交換しない、なんて言うのは論外ですが、年1回交換していても年間走行距離が2万kmを超えるといったオイル管理は、そのときのメンテナンスコストを節約したとしても、長い目で見るとエンジン故障という大きな代償を負う可能性があります。
そうならないためにも適切なオイル管理が何よりも大事です。
オイルは距離/時間/量/色/粘度で管理する
スポーツカーでない限りは、カー用品が勧めるように3,000km毎に替える必要はありませんが、少なくとも取扱説明書(車にも取扱説明書はあります)に記載されている交換サイクルでオイル交換すべきです。
僕が乗っている車(ホンダ エアウェイブ)は、取扱説明書を見ると「走行15,000kmもしくは1年毎に交換」と記載されています。
取扱説明書の内容は交換の目安にはしますが、少なくとも月に一度程度がオイルレベルゲージを抜いて、オイル量と色、粘度をチェックしています。
オイルが規定値かどうかチェック
まずオイル量が規定値に入っているかどうか。
規定値に入っているからOK~♪、ではなく「前回点検時より大きく減っていないか」を見るようにしています。
普通に使っている分には、オイルはそんなに減るものではありません。
前回点検時、1ヶ月前よりもオイルレベルゲージでわかるぐらいに減っているようであれば、オイル漏れを起こしている可能性があります。
駐車場のエンジン下にオイル染みの跡があれば、パッキンやガスケットの劣化が怪しいです。
もしかすると石や異物でオイルパンに穴が空いているかもしれません。
そんなときは、オイルをLOWER以上まで継ぎ足してディーラーや修理工場で点検してもらいましょう。
色と粘度
使用中のオイルは見た目は真っ黒ですが、ペーパータオルなどに取ってみると茶色っぽいコーヒー色です。
これは約3,000km走行後にオイル交換したときの画像です。そんなに汚れていないですね。
コーヒー色でなくミルクの入ったカフェオレっぽい色に見える場合は、オイルに水が混ざっている可能性があります。
オイルに水が混ざって激しく攪拌されると、カフェオレというかコーヒー牛乳っぽい色になるんですね。
野外にカバー無しで保管していている場合はガソリンタンクや劣化したシール部から水が入ったり、乗らない期間が長いとガソリンタンク内部やエンジン内部の空気が結露して、それがオイルに混入してしまう場合があります。
白っぽくなったエンジンオイルは、オイルの二大役割である潤滑・冷却性能を発揮できませんから、すぐにフラッシングオイルでエンジン内部を洗浄して新しいオイルに交換しましょう。
また親指と人差し指でこすってみて、ヌルヌルした感じがしっかりと感じられるようであれば大丈夫ですが、こすっていくうちにヌルヌル感が無くなってサラッとしてくるようであれば、オイルの劣化が進んでいますので、早く新しいオイルに交換しましょう。
白煙はオイル管理をしっかりしていれば防げる
マフラーから白煙が出る原因の多くは、オイル管理が適切に行われていないことによって引き起こされる部品劣化がほとんどです。
車やバイクって耐久消費財の中では結構高額な商品なのに、意外とメンテナンスに無頓着な人って少なくありません。
特にオイルは人間で言えば血液に相当します。
人間が普段から血圧測定をしたり血液検査で健康診断するように、オイルを点検することで車の健康状態を計ることできるのですから、面倒がらずにせめて月に一度はオイルチェックしましょう。
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