先日バイクのタンク傷を修復していたとき、普段はそれほどバイクに興味を示さないウチの子供が「バイクに乗ってみたい」と言ってきました。
聞いてみると、同じクラスの友達のお父さんが車好きらしく、その子曰く「ウチのお父さん、メッチャ改造した車で時々ドライブに連れてってくれる」のだそうです。
それに対抗心が出たのか何なのかわかりませんが、「ウチの父ちゃんもバイクに乗ってて時々二人乗りで出かけるんだ」って言ってしまったらしい(笑
確かに以前、近所をぐるっと1周だけ後ろに乗せたことはありますが、”出かける”と言うほど乗せたことはありません。
ウソを後から事実化するのは感心しませんが、理由がカワイイのでまぁいいか、と。
今回は子供とタンデムするのに必要なギアと注意するポイントについて解説したいと思います。
バイクの二人乗り(タンデム)に年齢制限はあるの?
ところで、バイクに子供を乗せるときは年齢制限ってあるのでしょうか?
車に幼児を乗せるときはチャイルドシートやジュニアシートの装着が義務付けられているので、バイクにも何かしらの制約があるのかと思って調べてみました。
すると、バイクの二人乗りは年齢制限が無いんですね。
0歳の乳児でも100歳の老人を載せても、特に法律上は問題ありません。(もちろんそんな人はいないと思いますが…)
また、二人乗りにあたって装備・装着が義務付けられているモノも無いので、ヘルメットさえ被ればタンデムOKのようです。
…とは言っても、安全を考えるとヘルメットだけでは心許ないので、きちんとした服装は必要になります。(この後で説明します)
子供とのタンデムは何歳ぐらいから大丈夫?
僕の経験的には、小学3年生ぐらいであれば大丈夫だと思います。
というのも、幼稚園児~小学生低学年だとどうしても眠気・空腹・排泄の我慢ができないので、乗る方も乗せる方も大変です。
例えば高速道路を走っているときに眠くなっても、次のSA/PAまで近ければいいですが、場合によっては20分以上かかる場合もあります。
その点、8~9歳ぐらいになればある程度、分別がつくようになりますし、眠くなってもなんとか次のPA/SAまで我慢することができます。
パニアケースに両サイドをサイドバッグで囲んで、後席が”背もたれ付き椅子”のような後席シートを作れる車種であれば、寝落ちしても落車する心配がありませんので幼稚園児でも大丈夫でしょう。
子供とのタンデムに必要なものとは?
今回、小学生の子供をバイクに乗せるのに最低限、必要なギアはこんな感じです。
ヘルメット
ヘルメット着用は後部シートでも着用が義務付けられていますが、ヘルメットであれば何でもいいわけではありません。
穴の空いている自転車用ヘルメットは耐貫通性が無いのでNGです。
子供用のヘルメットは、「キッズ・ジュニア用」で探すか、「レディース用」を探すとサイズを見つけやすいと思います。
子供の頭は、一般的に0歳から幼稚園ぐらいまでにぐんぐん成長して、その後10歳ぐらいで56cm前後と大人と変わらない程度のサイズになります。(もちろん個人差がありますが)
そのため、小学生ぐらいであればレディース用(54~57cm)で探すといいです。
ちなみに上のヘルメットは以前AmazonのCMでおばあちゃんにプレゼントしたヘルメットです。
服装
服装は長袖・長ズボン・靴とグローブは必須です。
しかし、真夏にジャケットを着せると後席では風が当たらないので熱中症になる可能性があります。
最低限、ロングスリーブのシャツは着せるようにして肌に直射日光が当たらないようにしましょう。
靴はスニーカーでOKですが、靴下はショートソックスではなくくるぶしが隠れるものにします。
グローブはライディング専用のものでなくても大丈夫。
ウチは滑り止め付きのカラー軍手にしています。
滑り止めが蛍光カラーのものもあるので、そのへんは子供のお好みで。
寒い時期だったら雪遊び用やスキー用のグローブでもいいと思います。
ただその場合はミトンタイプのものでなく5本指タイプのものにしましょう。
タンデムベルト
タンデムベルトとは、運転者と後席の乗員をつなぐベルトです。
子供は腕の力と腹筋が弱いので、不意に加速したときに手を離してしまって後ろに落ちそうになったり、眠ってしまって左右にズリ落ちそうになってしまうことがあります。
バイクの後席に乗るとわかりますが、運転者のタイミングで加速するので、不意に加速されると慣性の法則で体が後ろに持っていかれそうになります。
そのときに腹筋を使って体を支えることになりますが、これが大人でも結構な力を使います。
高学年の子供でバイクに慣れている子であればタンデムベルトは不要ですが、低学年~中学年ぐらいで慣れないうちはタンデムベルトを使うほうが安全です。
子供とのタンデムで注意するべき点とは?
子供を後ろに載せて走るときには、いくつか注意すべき点があります。
乗り方、降り方、バイクの危ないポイントを教える
服装もOK、タンデムベルトも購入した、では出発~、なんていきなり出発してはダメです。
バイクに乗る際に最低限気をつけることを、出発する前に子供にレクチャーしておきます。
乗車前
・ヘルメットのアゴ紐が緩んでいないか確認する
・靴紐が長くないかチェック(チェーンや後輪に絡まないように)
乗り方・降り方
・運転者の合図があるまで乗らないこと、降りないこと
・降りるときは周囲に注意すること
乗車中
・トイレに行きたくなったらすぐに知らせること(我慢しない)
・眠くなったらすぐに知らせること(我慢しない)
子供心に親に気を使って何かと我慢してしまう子も中にはいます。
そんなツーリングは子供も大人も楽しくありませんので、気になったことは遠慮せずなんでも言うように伝えておきましょう。
車両の危ないポイントを教える
・マフラーを触ると火傷する。止まってからしばらく経っても熱いので注意
・ブレーキディスクも熱いので要注意
・スニーカーがマフラー、エンジンに触れると融けるので注意
いきなりロングツーリングに行かない
つい、風光明媚なところに連れていってあげたくて丸一日走るようなツーリングに行きたくなりますが、後席は意外と退屈なものです。
最初はバイクに乗る事自体がはじめてなので楽しそうにしますが、子供は30分も走り続けると段々飽きてきます。
まだ全行程の1/10ぐらいしか進んでいないのにそんな状態になってしまうと、残りの行程がツライものになってしまい「バイクに乗るのはもうイヤ」となってしまいます。
なのでいきなりロングツーリングに行くのではなく、最初は1時間程度の近場から始め、慣れてきたら半日程度のプチツーリング、と徐々に距離・時間を伸ばすようにしていきます。
子供が眠そうになったらすぐに休憩する
行きは興奮しているのでいいのですが、ツーリング先で食事して満腹になると、バイクの揺れが気持ちよくて後席の子供は眠くなります。
子供は頭が大きい上にヘルメットで更に重くなっているので、眠くなると急に横に倒れて肝を冷やします。
いくらタンデムベルトをしているとは言え、完全に熟睡した子供に乗車姿勢をキープできるほどのベルトでは無いので、子供が眠そうになったら最寄りのSA/PAに入るか、一般道であれば近いコンビニ、道の駅に入って休憩をとるようにしましょう。
僕は、復路は30分毎に休憩ポイントを作って眠気が来る前に休憩を取るようにしていました。
子供は「次の休憩は1時間後だから」と言われるより「次の休憩は30分後だから」と言われたほうが、気分的に楽、と言ってました。
30分経過したときに「もうちょっと進んでから休憩しても大丈夫?」と聞いてみて、イケそうだったらそのまま進んだりと、8~10歳程度であればこのあたりの調整がしやすいです。
子供との二人乗りのまとめ
・タンデムベルトを使う(眠いときの落車防止)
・後席に乗る場合の注意事項を、乗る前に教える
・いきなりロングツーリングから始めない
「そもそも二輪なんて危ないからダメ」というのも親御さんの気持ちとしてはわからなくもありません。
このあたりは個人の考え方や家庭の考え方があるので正解はありません。
しかし、個人的にはリスクだけ過剰に心配しても人生楽しくないなぁ、という想いもあります。
もちろんバイクは転倒のリスクがある乗り物ですが、そのリスクは運転者が注意すれば大部分は回避できるものです。
子供とタンデムで出かけることは、そう何年もできることではありません。
あと5~6年もすれば親と出かけることも少なくなりますから、今のうちに車とは違う爽快感を味あわせてあげようとおもいます。
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