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ホンダの”倒れないバイク”が凄すぎる!

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「倒れないバイク」って知ってますか?

ホンダが開発した2輪のまま自立するバイクで、今年の初めにアメリカで開催されたComputer Electronics Show(通称CES)で話題になった技術です。

…って言われてもピンとこないと思うのでまずは下の動画をどうぞ。その凄さがわかると思います。

人が歩くより遅い低速でハンドルから手を離しても倒れることなくゆっくりと進んだり、歩いている人の後ろを無人バイクがゆっくりと、まるでペットのようについてきたりするデモは衝撃的です。

なぜ倒れない?

上の動画でも説明していますが、静止状態なのに倒れないのはトレール量によってハンドルの挙動が異なる仕組みを利用しています

トレール量とは、ステアリングの回転中心軸と路面との交点とタイヤの接地点の幅をいいます…なんて文字で書いてもわかりづらいので図にしてみました。

赤い斜めの線がステアリングの回転中心軸で、垂直の赤い線がタイヤの回転中心とタイヤの接地点を結んだ線です。

この2つの赤い線の差分がトレール量(ポジティブ)で、この幅が小さいと直進安定性が欠けますが、車体がクイックに倒れ込むのでスポーツモデルのバイクではこのトレール幅が比較的短めに設定されています。

一方、アメリカンタイプやツアラーモデルなどは直進安定性を大きくしたいので、フロントフォークを寝かせてこのトレール幅が大きくなるように設定されています。ハーレーなんかまさにそうですね。

で、このトレール量を変えることでハンドリング(操縦性)を変えることができるのですが、トレール量を変えるには

・キャスター角を変える
・ステアリング軸とフロントフォークのオフセット量を変える

の2通りの方法があります。

キャスター角を動的に変えるのは難しいようで、ホンダはオフセット量を変えてトレール量を変える方法を選択しました。

実際はこんなにオフセットしませんが、分かりやすいようにデフォルメして書いてみました。

キャスター角を変えずにオフセット量を大きくすると、トレール量がネガティブ側に大きくなります。

ネガティブトレールになると、ハンドルを切ると車体は倒れるのではなく正立する方向に力が働きます

つまり極低速走行でバランスを取るためには、トレール量を意図的にネガティブにすることでマシンを移動しなくても正立状態を保つことができるわけです。

…なんて言葉で言うと簡単ですが、この挙動を具現化する技術は大変なものです。

このフロントフォークのオフセットを出す動きが、まるで何かに変身する前段階のアクションのようでとても近未来的に感じるのは僕だけでしょうか。なんかリアルトランスフォーマーみたいでカッコイイです。

ASIMOやUNI-CUBで培った技術がふんだんに投入されているのがわかります。

倒れないと何がいいの?

バイクが一番苦手なのは低速走行。

自転車でもそうですが、人よりも遅い速度で走るには相当なバランス感覚が必要ですよね。

この低速走行をバイク側でアシストしてくれれば、ニーグリップも半クラッチも不要で低速で走ることができます。

特に初心者には嬉しい機能ではないでしょうか?

僕は大型バイクに乗って30年近くになりますが、今でも渋滞時の低速走行はクラッチ操作で左手が辛くなります。

特に大型バイクは油圧クラッチが多いので、頻繁にクラッチ操作していると握力がだんだん無くなってくるんです。

もしこの低速走行をアシストする機能があれば、ニーグリップしながら半クラで後輪にトラクションを掛けつつリアブレーキでスピード&姿勢制御、なんて操作が不要になって渋滞の苦痛から解放されますから、これはベテランライダーにとっても有難い機能ですよね。

テクノロジーが間口を拡げる

かつて大型二輪免許(限定解除)は運転試験場のいわゆる一発試験で取得するしか方法がありませんでした。

大型二輪免許を格安で取得できる”一発試験”って何?
運転免許を持っていない人が、大型二輪免許を取得するには、大体20万円程度の費用がかかります。 その内訳は、ざっくり普通二輪の取得に約12万円、大型二輪の取得に約8万円、合計で約20万円。 大体どこの自動車学校に行ってもこのくらいの金額が相場...

しかし海外バイクメーカーから「日本でバイクが売れないのは厳しすぎる免許制度のせいだ」と言った圧力もあり、1996年9月の免許改正によって公認自動車教習所で大型二輪教習を受けられるようになりました。

そうは言っても、大型二輪を操るには「いかに低速でバイクをコントロールできるか」がポイントで、そういう意味では一発試験で求められる本質とそう大きくは変わりません。

しかしこのHonda Riding Assistが市販車に搭載されれば、初心者がもっとも不安に感じる低速でのバランス走行を機械に任せることができるので、誰でも気軽にビックバイクを楽しめるようになります。

重い取り回しもアシストしてくれますし、渋滞中の低速も半クラッチで右腕がパンパンにならなくてすみます。

僕は、一日中走ると股関節が疲れてきて、なんでもない普通の交差点で立ちゴケしたことが何度かあります。

交差点で停車したときにバイクが少しグラっと倒れても足で踏ん張って抑えられたのが、ツーリングの後半や自宅近所の交差点でふと気を抜いた時にグラっと倒れて、踏ん張り切れずに立ちゴケしちゃうんですね。

そういったこともこのアシスト機能があれば回避できるわけです。

倒れないバイクのまとめ

今はまだ実験的にNC700SにRiding Assist機能を搭載しただけで、市販車への搭載についてはまだ未定ですが、CESの反響がかなり大きかったようなので、近い将来、市販化に向けての動きが出てくると思います。

いくら技術革新によって安全性が高まるとは言え、操縦技術が未熟な人が大型バイクに乗ることに眉をひそめるベテランライダーも中にはいるかもしれません。

しかし僕は技術が人間の感覚をサポートしてくれるのであれば、積極的にその恩恵を授かったほうが人間の集中力を交通状況の把握などの安全面に振り向けられるメリットがあると思います。

今はまだ元気に大型バイクを楽しんでいますが、年齢が60歳、70歳になっても今と同じように楽しめるか?といえば、それはなかなか難しいかもしれません。

しかしこのRiding Assist技術が市販車に搭載されるようになれば、加齢によって体力が落ちてもテクノロジでカバーできるので長くバイクを楽しめるようになります。

引き続きこの動向に注視していきたいと思います。
 

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